Subject: vsolj-news 244: SN 2010dq in NGC 57 VSOLJ ニュース (244) 楕円銀河に増光中の超新星 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@phys.kyushu-u.ac.jp VSOLJニュース(243)でお知らせした天体(2010dn)は、超新星ではなく明るい 青色変光星(LBV)と判明しましたが、その巻き返しとばかり、山形県山形市の 板垣公一(いたがき こういち)さんは、別の新天体を発見されました。今回の 天体は、増光中の超新星である可能性が高いと思われます。 板垣さんは、6月3.71日(世界時、以下同様)に60cm望遠鏡で撮影した画像に、 17.3等級の新しい光点を見いだしました。以前撮影した画像を点検したところ、 5月31.748日に撮影したときにも18.0等で捉えられていることが判明しました が、それ以前の画像には天体はありませんでした。新天体の位置は、 赤経 0時15分29.70秒 赤緯 +17度19分41.0秒 (2000年分点) で、うお座とペガスス座の境界付近にある楕円銀河NGC 57の中心核から西に17 秒角、南に1秒角にあたります。 楕円銀河では星生成活動は現在不活発です。そのため、寿命の短い大質量の 星は死に絶えてしまっており、大質量星起源である「重力崩壊型超新星」はま ず出現しません。一方、白色矮星の核爆発とされる「核爆発型超新星」は、銀 河の型を問わずに出現します。今回の天体は、増光中の核爆発型超新星と考え て明るさ等が矛盾しません。今後、分光観測によるタイプの判別や、光度変化 の追跡が注目されます。 板垣さんによる発見画像:http://www.k-itagaki.jp/images/psn57.jpg 参考文献:CBET 2303 (2010 June 3) 2010年6月4日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。