Subject: vsolj-news 255: Detection WZ-Sge type dwarf nova in Pisces

VSOLJ ニュース (255)

板垣さん、またもまれな矮新星の増光を発見
                     著者 :大島誠人(京大理)
                     連絡先:ohshima@kusastro.kyoto-u.ac.jp

 当ニュースNo.253でヘルクレス座にある新矮新星のまれなアウトバーストが発
見されたことについて報告しましたが、今度はうお座にある同様の新天体が増光
しているところが発見されました。
 発見したのは山形市の板垣公一さんです。2010年11月30.50663日に、21cm反射
望遠鏡によるサーベイ観測の際に本来19-20等程度の星しかない位置に12.3等
(CCDノーフィルター)の天体があることを発見し、60cm反射望遠鏡により確
認・測定を行い報告がなされました。位置は、

赤経  01時20分59.59秒
赤緯 +32度55分45.0秒  (2000年分点)

 です。うお座の一角に位置しており、所属星座は違いますがM33の近くでもあ
ります。
 増光幅が約8等前後であることなどから増光範囲の広い矮新星の可能性が疑わ
れ、報告を受けた観測者の方により連続測光観測が行われました。イギリスの
I・ミラーさん、花山天文台(京都市)の前原裕之さん、岡山理科大学チーム(岡
山市)の皆様らによって早期スーパーハンプと呼ばれる変動が検出され、この天
体が矮新星の中でも増光がまれで大きな増光を示すや座WZ型矮新星であろうとい
うことが判明しました。
 矮新星は一般的に軌道周期が数時間という非常に短い近接連星系をなしている
ことが知られていますが、特に短い(2時間以下)ものはスーパーアウトバース
トとよばれる長い増光の際にスーパーハンプとよばれる軌道周期よりわずかに長
い変動を示し、おおぐま座SU型矮新星とよばれています。この中でも特に増光が
まれで、増光範囲が大きなものがや座WZ型矮新星です。このや座WZ型矮新星はそ
の増光初期に早期スーパーハンプと呼ばれる変動がしばしば見られることでも知
られます。これは軌道周期より数%長い周期で変動する通常のスーパーハンプに
対し、変動がダブルピーク状になっており軌道周期の半分で変動しているように
見えることが特徴です。
 や座WZ型矮新星は、増光がまれなこともあって見つかっている数もあまり多く
なく、他の矮新星に比べても研究が遅れています。近年になって各種サーベイな
どの成果もあって発見数も増えつつありますが、グループの中では明るいものの
一つであるかみのけ座AL(VSOLJニュース No. 59)や、それどころか代表星であ
るや座WZ(VSOLJニュース No.67)でさえ、詳しい観測的研究は今世紀に入ってか
らという状態です。今回の天体は比較的明るく位置的にも観測しやすい、という
ことで多くの観測が望まれます。

参考文献
vsnet-alert 12431, 12435, 12436, 12441

                            2010年12月03日

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