Subject: vsolj-news 260: SN 2011B in NGC 2655 VSOLJ ニュース (260) 年明け早々に爆発直後の明るい超新星発見 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@phys.kyushu-u.ac.jp 昨年末から冬型の気候が続き、荒れ模様の日本海側、晴天の太平洋側となっ ています。山形県山形市にお住まいの新天体捜索者の板垣公一(いたがきこう いち)さんは、冬になると雪雲を避けて、栃木県高根沢町に設けた施設で天体 捜しをされています。今回の超新星は、その高根沢町で発見されたものです。 また、広島県広島市の坪井正紀(つぼいまさき)さんも、同じ超新星を独立に発 見しています。 板垣さんは、1月7.431日(世界時、以下同様)に同所の30cm反射望遠鏡で撮影 した画像上に、15.8等の光点を見つけました。遡って調べてみると、1月2.447 日には18.5等より明るい天体はありませんでしたが、5.570日には17.5等級で 写っていることに気付きました。新しい天体の位置は、 赤経 8時55分48.50秒 赤緯 +78度13分02.7秒 (2000年分点) で、きりん座のレンズ状銀河NGC 2655の中心核から東に32秒角、南に21秒角の ところにあたります。天体は、埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さん や宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)によって存在が確認されました。また、 坪井さんは8.459日に15.7等でこの超新星を独立発見しています。仙台市天文 台の小石川正弘(こいしかわまさひろ)さんは、1月3.735日撮影の画像には19.0 等より明るい天体はその位置にないことを報告しています。爆発後間もない発 見だったことが期待されます。 カナダの天文台でこの超新星のスペクトルが観測され、極大前のIa型超新星 であると報告されています。母銀河は私たちから近く、典型的なIa型超新星で あれば極大で13等近くになることが期待されます。今後の光度変化に注目が集 まります。 板垣さんの発見画像:http://www.k-itagaki.jp/images/psn2655.jpg 坪井さんの発見画像:http://ftenku.web.fc2.com/astrophoto/NGC2655110108-02.jpg 遊佐さんの確認画像:http://www.palette.furukawa.miyagi.jp/space/images/PSNinN2655_110108.jpg. 参考文献:CBET 2625 (2011 Jan. 9) 2011年1月9日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。