vsolj-news 270 : new dwarf nova in Pegasus

VSOLJニュース(270)
板垣さん、ペガサス座に新たな矮新星を発見

著者 :大島誠人(京大理)
連絡先:ohshima@kusastro.kyoto-u.ac.jp

 いよいよ梅雨入りとなり、天気が悪く星の見えない日が続いていますが、そん
な中でも新天体の捜索と発見は着々と行われています。このたび、ペガサス座に
新しい矮新星が発見されました。
 発見したのは、新天体の捜索で有名な山形市の板垣公一さんです。2011年5月
24.6991日に捜索観測をおこなっていたところ、11.5等(CCDノーフィルター)の
新天体を発見し、60cm反射望遠鏡によって確かに新天体であることを確認、報告
されました。正確な位置は、

21時09分50.47秒
+13度48分39.6秒 (2000.0)

です。
 これをうけてアメリカ合衆国のE. グイドさん、G. ソステロさんらが確認観測
を行い、確かにこの位置に新天体していることが確かめられました。また新井彰
さん(京都産業大)による分光観測から、この天体が矮新星の増光であろうとい
うことが判明しました。
 上記のグイドさんら及びD. デニセンコさんによると、この天体が観測された
位置には増光前の天体と思われる18.82等(R等級)の天体があるということで、
これが母天体であるとすれば増光範囲は7?8等前後ということになります。これ
は矮新星としては非常に大きい値です。このことから、この天体が矮新星の中で
も特に大きくまれな増光を示すサブグループであるや座WZ型矮新星である可能性
が示唆されています(や座WZ型矮新星についてはVSOLJニュースNo.67、No.255な
どを参照)。極大光度が11等というのは矮新星としてはかなり明るい部類の天体
であり、そのような天体がこれまで未発見だったということからも増光頻度はか
なり少ない可能性が高いこともこれを裏付けています。
 この時期には夜半過ぎにしか上ってこないということでやや観測しにくい天体
ですが、特殊な天体である可能性が高いということもあり、梅雨の間をぬっての
観測がぜひ求められる天体です。

参考文献
vsnet-alert 13341,13342,13343,13344,13346

2011年5月31日

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