vsolj-news 307: AL Comae Berenices superoutburst

VSOLJニュース(307)
矮新星かみのけ座AL、6年ぶりのスーパーアウトバースト

著者:大島誠人
連絡先:ohshima@kusastro.kyoto-u.ac.jp

 かみのけ座は、名前はある程度知られているものの、「あまり明るい星のない
エリア」として知られている星座であるかと思います。かみのけ座の方向は、銀
河面を赤道にみたてたときちょうど北極に当たる方向にちかく、「天の北極」が
ある星座なのです。つまりもっとも銀河面から遠いところにある星座の一つとい
えるわけで、明るい星がほとんどないのもこのことによります。もっともこれは
裏を返せば星間物質がほとんどないということでもあるため、このかみのけ座の
方向には多くの遠方銀河があります。
 このかみのけ座にある変光星の一つ、かみのけ座ALもやはり(あまり遠方では
ありませんが)系外銀河のひとつ、M88のすぐそばにある矮新星です。この天体
のアウトバーストはかなりまれで、最近では1995年4月、2001年5月、2007年10月
とおおよそ6年毎にアウトバーストを示しています。
 前回のアウトバーストから再び6年がたち、このたびまたかみのけ座ALがスー
パーアウトバーストを始めました。発見したのはイタリアのC. Gualdoniさん
で、12月6日に12.74等(V等級)まで明るくなっていました。
 かみのけ座ALは矮新星のうちの「や座WZ型矮新星」に属することが知られてい
ます。このサブグループはスーパーアウトバースト初期に「早期スーパーハン
プ」と呼ばれる軌道周期とほぼ一致する変動が見られることが知られていること
から、発見を受けて各地で確認観測が行われました。結果、アメリカのS.
Dvorak氏、京都大学のグループなどによって早期スーパーハンプが受かりまし
た。
 この天体は引き続きスーパーアウトバーストの状態を続けており、現在はまだ
早期スーパーハンプを示しています。しかし、近いうちに通常のスーパーハンプ
に移り変わると考えられます。
 正確な位置は、以下のとおりです。

赤経 12時32分25.8秒
赤緯 +14度20分43秒 (2000.0年分点)

 まだ明け方の空にしか観測できないためか、重要な天体であるにも関わらず、
意外に観測がなされていないようです。しかし、近年の矮新星に関する理論的研
究から、通常のスーパーハンプの初期における観測が系についての情報を知る上
で非常に重要な段階であることが判明しており、早期スーパーハンプから通常の
スーパーハンプ初期の観測は非常に重要なデータとなりえます。今後さらに観測
が望まれます。

参考文献
cvnet-outburst 5738, vsnet-alert 16695
                                                        2013年12月16日

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