Subject: vsolj-news 314: New dwarf nova in Piscium
VSOLJニュース(314)

向井さん、うお座に新しい矮新星を発見
                      著者 :大島誠人(京都大学)

梅雨が明けたにもかかわらず、ぐずついた天気が続きなかなか星空を眺めること
ができない日々が続いており、そんな日々が過ぎていくうちに夜も遅くなると秋
の星座が顔を出してくる時期となりつつあります。秋の星座というとあまり明る
い星が目立たないことから神話物語ばかりがクローズアップされる傾向にありま
すが、一方で明るく有名な変光星の宝庫でもあります。ミラやアルゴル、ケフェ
ウス座δ、カシオペア座γ、などなど変光星に興味のある天文ファンにはもっとも
親しみ深い季節といえるかもしれません。
 そんな秋の星座の中に日本人捜索家の手によって新たな矮新星が発見されまし
た。発見したのは、鹿児島県の向井優(むかいまさる)さんです。向井さんは、
7月19.738日(世界時)に105mmのレンズで撮影された画像から、うお座とくじら
座の境界付近に12.3等級の新天体を発見しました。この新天体は6月13日に撮影
された画像では13等より暗かったことがわかっています。また、イタリアのG.
Masiさんもほぼ同時期の7月19.9945日に、12.5等の新天体としてこの天体を報告
しています。正確な位置は以下のとおりです。

赤緯 23時05分23.14秒 
赤経 -02度25分45.5秒 (2000.0年分点)

 この位置は、USNOカタログにある18.7等の星と一致することから、振幅の大き
い矮新星の可能性が疑われました。このようなアウトバースト振幅の大きな矮新
星はおおぐま座SU型矮新星や、その中のサブグループのや座WZ型変光星である可
能性が高く、周期変動がアウトバースト中に観測されることが期待されます。そ
の後、G. Masiさんや日本の大阪教育大学チームの方々によって連続測光観測が
行われた結果、振幅0.05等、周期0.05458日の周期変動が検出されました。この
変動はや座WZ型矮新星に特有の早期スーパーハンプであると考えられます。

 この天体の早期スーパーハンプはそれから数日間観測されましたが、その後通
常のスーパーハンプが見られ始めるようになりました。それからは、ゆっくりと
暗くなりつつあります。

参考文献
vsnet-alert 17507, 17513,17528, 17550, 17571
http://www.cbat.eps.harvard.edu/unconf/followups/J23052314-0225455.html



※この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開
 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典
 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、
 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利
 です。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が
  subscribe vsolj-news
 と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。
 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。