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こと座 にはベガを除くと明るい星はありませんが,七夕の織姫星として親しまれるベガは,1等星より明るい0等星。夏の夜空を見上げ,ほぼ天頂付近に輝く一番明るい星がベガですから,こと座 はとても見つけやすい星座です。
ベガが宵の口に天頂に達するのは夏の終わり頃ですが,ゴールデンウィークが終わった頃には,夜の早い時間帯に北東の空からのぼるようになり,クリスマスの頃になっても北西の空に見えています。こと座 とお隣の十字型をしたはくちょう座 がわかるようになれば星空探訪がとても簡単になりますので,ぜひ探して覚えてください。
こと座 には,有名な,そして悲しいギリシア神話が知られています。
こと座 になった竪琴は,もともと太陽と音楽の神アポロンのもの。アポロンは息子のオルフェウスにお気に入りだった琴を譲ります。やがてオルフェウスは琴の名手に成長し,美しいエウリディケと結婚しました。ところがエウリディケは間もなく蛇に噛まれて死んでしまい,オルフェウスは泣きながら死の国へ妻をさがしに出かけます。
オルフェウスが悲しい音色で竪琴をかき鳴らし冥府の王ハデスにエウリディケを返してくれるよう頼むと,さすがのハデスも琴の音色に心を動かされ,エウリディケを地上へ返すと約束します。ただし,地上へ戻るまで,一度も振り向かないという条件で。
ところがオルフェウスは,妻の足音が聞こえず不安になって,地上へたどり着く直前に振り返ってしまいます。エウリディケはあっという間に冥府へ戻され,オルフェウスは悲しみに暮れて竪琴を手に彷徨い歩いたあげく,命を落としてしまいました。その後,オルフェウスの楽才を惜しんだ大神ゼウスが,琴を星座に加えたのだということです。
こと座 の星の名前については星のるつぼをご覧下さい。