2011年3月24日木曜日。
たまたま人吉方面をドライブしていた。春休み前の平日,SLは走っていない日だと思っていたが,球磨川の河原で出会った地元の老夫婦に今日は運行されるという話を聞いて,せっかくだからと撮影できる場所を探した。
そうして偶然見つけたのが,肥薩線の白石(しろいし)駅。木造の古い駅舎に円柱の郵便ポスト,周囲には人影もなく,改札にも誰もいない。だが,待合室には花が飾られ駅舎は綺麗に手入れされている。なかなか素敵な駅ではないか?
勿論自動改札などではなく勝手にホームへ入ってみると,ホームから見た線路の景色はのどかで雰囲気がある。この駅でSL撮影をすることに決め,SL人吉がやって来るまで小一時間,球泉洞の土産物屋などで時間を潰した。
Camera: Nikon D200
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JR 人吉駅 |
JR 白石駅 |
白石駅 |
白石駅ホームから人吉方面 |
白石駅ホームから八代方面 |
白石駅ホーム |
百年祝があったようだ |
SL人吉案内板 |
白石駅 |
SLの到着時刻の10分ほど前に駅へ到着すると,さきほどまで誰もいなかったホームに人がいる。先刻訪れた時にホームの柵の向こうで花壇の手入れをしていた男性がこの駅の駅長さんだったようで,列車の到着時刻が近づいて制服姿になっていた。どうしようかと柵の外から駅を覗き込んでいると,如何にもSLを撮りに来たという風情の私に,ホームへ入るよう案内して下さった。
頃は早春。寒かった2011年の冬がようやく終わり,桜は3分咲き。
2005年8月,最後のお別れだと思って阿蘇で見送った58654が,線路沿いの菜の花を背景にゆっくりと近づいてきた。心なしか,故郷の線路を走って幸せそうだ。
ありさハチロク見送り隊の旗 |
白石駅へ入るSL人吉 |
白石駅へ入るSL人吉 |
普通列車と離合 |
煙を沢山サービスしてくれた |
ゆっくりと駅を出る |
手を振ってくれる機関士さん |
去って行くSL人吉 |
よい旅を! |
肥薩線は球磨川沿いの狭い土手を走る単線なので,列車は駅で離合する。SL人吉は白石駅で普通列車を待って5分ほど停車し,八代方面へと出発した。こういう観光列車は,乗っている方も見送る方も,楽しい気持ちでその場限りの時間を共有する。ホームでカメラを構える私たちへたっぷりの煙をサービスしてくれた機関士さんも,乗客たちも,みんな手を振って出て行った。心和むひとときだった。
白石駅を出てしばらくして,八代方面へ向かう車の窓から,次の駅に停車しているSL人吉を見かけた。ゆっくりのんびりな観光の旅だ。
どうかいつまでも,SL人吉がこの線路を走っていられますように。この風景が無くなりませんように。そう思いながら懐かしい58654に別れを告げた。