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晩夏の宵,頭上高く懸かる天の川の中で翼を広げるはくちょう座 は,明るく分かりやすい,代表的な夏の星座です。
夏の星座と言っても,南の空をさっと通り過ぎるさそり座 とは違って,はくちょう座 はゴールデンウィークからクリスマスの頃まで空のどこかに見えています。α星デネブは,ぎょしゃ座 のカペラと並んで,もっとも北にあり,もっとも長い時間見えている輝星なのです。
はくちょう座 の骨格を作る大きな十字型は,白鳥の尾にあたるデネブが1等星,クチバシにあたるβ星アルビレオが3等星,十字型の中心に位置するγ星が2等星。天の川の中ですが,明るい星ばかりでよく目につきます。
この十字型は古来から北から南へと飛んでいく鳥の姿に見られてきましたが,南十字(みなみじゅうじ座 )に対して北十字とも呼ばれています。初冬の宵,西北西の空に傾いたはくちょう座 は,本当に,地面に立つ十字架のように見えます。
ギリシア神話によると,この白鳥は,大神ゼウスが変身した姿。
絶世の美女とうたわれたスパルタ王妃レダをみそめたゼウスが,想いを遂げるため,白鳥に変身してレダに近寄ったのでした。白鳥が去った後,レダは2個の卵を生み,それぞれの卵からは,双子の男の子カストルとポルックス(ふたご座 ),双子の女の子ヘレネとクリュタイメストラが生まれ,美しく成長したヘレネは,後にトロイア戦争の誘引となりました。
はくちょう座 の星の名前については星のるつぼをご覧下さい。