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ろ座 は,喜望峰で星の観測をしていた18世紀のフランスの天文学者ラカイユによって制定された星座で,くじら座 の南に,蛇行するエリダヌス川に抱き込まれるように存在しています。星座が逆さまになっているのは南半球で空を見上げたラカイユの視点で作られているためで,南半球では上下がひっくり返ることなく見られます。
炉といっても,ここに描かれているものは暖炉ではなくかまどのような化学実験炉で,ラカイユは,同郷フランスの著名な化学者ラボアジエ(1743-94)にこの星座を献げました。ラボアジエは,錬金術時代からの化合物の俗名を廃止して構成元素に基づいた合理的な命名を提唱し,今日の化学の命名法の基を築いたのでしたが,フランスの恐怖政治のもとでギロチンに処せられ命を落としています。
星座絵の炉の下では火が燃え,上にはレトルト(蒸留に使う器具)で繋がった実験器具が2個乗っています。
ろ座 には明るい星もなく,α星が唯一の4等星かつ一番の輝星で,くじら座 の項を参考にくじら座 αを探し出すと,そのずっと南にポツンと光っています。 このあたりには明るい星が少なく,くじら座 αの南に輝くエリダヌス座 η及びくじら座 π,そして更に南のエリダヌス座 τ3〜6は全て4等星。特に4個の4等星が並ぶエリダヌス座 τ3〜6は分かりやすい星列です。この4個がが確認できれば,すぐ南のろ座 αもわかるでしょう。
南に低く明るい星もないろ座 ですが,だいたいの位置を把握することは難しくありませんので,たまに現代化学の幕開けに思いを馳せて,どうぞこのあたりの星を眺めてみてください。
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ろ座 の詳しいお話については,星の停車場を,星の名前については星のるつぼをご覧下さい。