キャンドルマス(Candlemas Day)

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さて,モーセの律法に定められた彼等の清めの期間が過ぎたとき,
両親はその子を主に献げるため,エルサレムに連れて行った。
それは主の律法に,「初めて生まれる男子は皆,主のために聖別される」と書いてあるからである。
(ルカ2:22-23『聖書』新共同訳/日本聖書協会)


 カトリックの暦では,2月2日は“主の奉献”の祝日。
 エルサレムで5世紀,ローマで7世紀から祝われていた古い祝日ですが,1996年には,ローマ法王ヨハネ・パウロ2世によって World Day for Consecrated Life(世界奉献生活の日)として制定されました。

 昔は“マリアの清めの祝日”と呼ばれたこの祝日は,イエス誕生から40日後。聖母マリアが産後の汚れの清めの式を受け,幼子イエスが律法に従いエルサレムの神殿に捧げられた日に相当します。
キャンドルの画像  また,この日は長く続いたクリスマスの終わりの日としてツリーを燃やしたり,一年間に信者の家庭で使う蝋燭を祝別してもらう日でもあり,キャンドルマス,日本では“聖燭祭”とも呼ばれてきました。

 この祝日も,クリスマスや聖ヨハネ祭などと同じように,異教時代のヨーロッパの祝日がキリスト教に取り込まれて成立したものです。
 高緯度に住むヨーロッパの人々にとって,キリスト教以前の時代から重要だったのは,夏の到来を喜び五穀豊穣を祈る5月1日の五月祭。そして,長く厳しい冬を迎える前に先祖の霊を我が家の炉辺に迎える11月1日のハローマス(Hallomas)でした。やがてこれら二つの祭の中間に,2月1日のキャンドルマス(Candlemas)及び8月1日のラマス(Lammas)が設けられます。

 キャンドルマスは,弱っていた太陽に復活兆しが見え始め,春が始まることを祝うイモルグに行われたケルト族の祭が起源とされます。
 ケルト族はイモルグには火と豊穣の女神ブリギッドへ火を捧げる祭を行っていましたが,これが転じてキリスト教では聖母マリアが大天使ガブリエルから受胎告知を受けた日となり,妊婦が聖壇に蝋燭を捧げる習慣などに発展していったのです。

 時代が下って天体観測による一年の区分が行われるようになると,夏至や冬至,春分などの祝日がこれらに加わり,人々の生活を彩っていきます。


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