からす座 (Crv, Corvus)

最終更新:1999-08-01

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からす座
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和名

 ほかけぼし(帆掛け星)

 よつぼし(四つ星),よんぼし(四星),よつばり(四つ張り)よんます(します)どおりぼし(四桝通り星),よすまぼし(四隅星),しめんぼし(四面星)

 まくらぼし(枕星),つくえぼし(机星),はかまぼし(袴星),こしかけぼし(腰掛け星),おぜんぼし(お膳星),のしぼし(熨斗星)

 てみぼしみいぼし(みぼし)(箕星),まぐわぼし(まんがぼし)(馬鍬星),くらかけぼし(鞍掛星),けんびきぼし(腱引き星),ぢわりぼし(地割り星)

 だいがらぼし(臺碓星,台碓星),だからぼし(臺碓星),うすつきぼし(臼突星),やぐらぼし,(櫓星)

 うしでくばぼし(臼太鼓星)

 むじなのかわはり(ムジナの皮張り),

帆掛け星(ほかけぼし)
能登で見つかった名前で,今ではからす座の和名として最も知られている。
からす座のことを,西洋の航海士たちは“スピカのスパンカー”と呼んでいたが,これに通じる見方であることからも注目された。“スパンカー”は横帆船の最後檣(帆柱)の下部に張る縦帆(要するに帆)のこと。スピカを見つけるのに使われるため,この名がついたらしい。
四つ星(よつぼし)
四星(よんぼし,しぼし)
四隅星(よすまぼし)
群馬,静岡,奈良,広島,高知など,広く見つかっている名前。各地で様々な方言が見られる。
四つ張りは広島県呉市。四桝通り星は徳島。
枕星(まくらぼし)
袴星(はかまぼし)
机星(つくえぼし)
何れも広島県で見つかった名前で,からす座の4つの星を,身の回りにある物の形に見立てている。
腰掛星(こしかけぼし)
お膳星(おぜんぼし)
熨斗星(のしぼし)
何れも兵庫県姫路市周辺で見つかった名前で,やはり身の回りにある物の形に見立てている。
箕星(みぼし,みいぼし)
手箕星(てみぼし)
馬鍬星(まぐわぼし,まんがぼし)
主に兵庫県で見つかっている和名。
みぼし神戸,みいぼしは明石。福岡ではてみぼしと言う。
“箕”は,モミを篩い分けるのに使う竹製の農具のこと。
馬鍬星は夢前町で,“馬鍬”は,代掻きに使う農具のこと。この名前はオリオン座に使われることの方が多い。
鞍掛け星(くらかけぼし)
腱引き星(けんびきぼし)
地割り星(ぢわりぼし)
いずれも岡山県で見つかっている和名。
鞍掛け星は,神崎郡。この名前はおおいぬ座に使われる。馬の鞍掛けに似ていることから。
腱引き星は,神野町。からす座の四角形を,腱引きに据えるお灸のもぐさに見立てたもの。
地割り星は勝央町だが,意味はわからない。
臺(台)星(だいがらぼし,だからぼし)
臼突星(うすつきぼし)
櫓星(やぐらぼし)
“台碓”は,中国地方で呼ばれる踏み臼の方言。
台碓星は広島・山口,臼突星は呉市,櫓星は愛媛県。
臼太鼓星(うしでくばぶし)
沖縄県那覇市で見つかった名前で,ウシデーク(臼太鼓)と言う名の神楽舞の時に使う臼太鼓のこと。
ムジナの皮張り(むじなのかわはり)
皮張り星(かわはりぼし)
奥多摩地方の山小屋で見つかった名前。
はぎ取ったムジナの皮を広げて壁に打ち付けた形に見立てたもの。からす座の裾広がりの台形が,後ろ脚の長いムジナを思わせる。



主な星

アラビア語の英語表記: アルファベット下のドットは"."で,母音の長音符は直後に"_"を付記し,代用
星名一般名意味派生和名光度スペクトル距離絶対等級
αアルキバAlchiba天幕アラビア語
4.03F2*60
βクラズKraz


2.67G5*100
γギエナGienah右の翼

2.59B8*170-3.1
δアルゴラブAlgorabからす

2.95B9.5*140
εミンカルMinkar


2.99K3*110-0.2

光度: Yale Catalogue of Bright Stars, (3nd edition)
スペクトル: 
 * Yale Catalogue of Bright Stars, (3nd edition)
 ** Yale Catalogue of Bright Stars (4th edition, Hoffleit,D.and Jaschek,C.1982, Yale University Observatory)
 *** A List of MK Standard Stars (Garcia,B.1989, Bull.Inform.CDS,No.36)
距離および絶対等級: 『星座ガイドブック』誠文堂新光社,『星百科大事典 改定版』地人書館より抜粋。データが古いため参考までに。

【コメント】

 α星アルキバ(Alchiba)は,“テント”とか“天幕”の意味を持つアラビア語,アルキバ(Al Khiba_')が語源。もとは,からす座の四辺形を砂漠に張った天幕に見立てた,からす座全体を表す名前だった。アルキタ(Alchita)と綴ることがある。

 β星クラズ(Kraz)の意味は知られていない。

 γ星ギエナ(Gienah)は,“からすの右の羽”の意味を持つアラビア語,アル・ジャナハ・アル・グラブ・アル・アイマン(Al Jana_h. al Ghura_b al Aiman)が語源。現在の星座絵ではからすの左の羽に位置しているように見えるが,昔は天球を外から見た図を用いていたため,右の羽になっている。

 δ星,アルゴラブ(Algorab)は,“からす”を意味するアラビア語,アル・グラブ(AL Ghura_b)が語源であるが,19世紀以降に命名された新しい名前であると見られている。

 ε星,ミンカルも意味は分からない。




変光星

GCVS (General Catalogue of Variable Stars) より
変光星名変光星型光度範囲周期スペクトル備考
RM6.7-14.4317.03M4.5-M9:E

【変光星型】 M:ミラ型
【スペクトル型の前後の記号】 接尾記号 E :スペクトルに輝線あり
【コメント】




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