★参考文献
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ビッグベンの横からテムズ川の対岸へ架かる橋,それがウエストミンスター・ブリッジである。
ビッグベンのあるウエストミンスターの対岸にはユーロスターの発着駅として知られるウォータールーがあり,サウス・バンクと呼ばれるこの周辺にはロンドン水族館,ダリ・ユニバース,BAロンドンアイなどの新しい観光施設が目白押しだ。
ウエストミンスター・ブリッジを通る赤い2階建てバスとビッグベンを橋の上から撮る風景は,ロンドンのガイドブックなどで度々見られるお決まりの構図になっている。
観光初日,ウエストミンスター寺院を見学した後,ウエストミンスター・ブリッジのたもとにあるウエストミンスター・ピアからテムズ川リバーボートに乗った。
そびえ立つビッグベンの横を歩いて川の畔へやってくると,橋の欄干に水鳥が遊んでいる。車通りが多いにもかかわらず,河岸は喉かな雰囲気だ。
ここでどうしても見ておきたかったのは,Bridge Street を挟んでビッグベンを見上げるようにして立つ,古代ケルト女王ボーディシアの銅像だった。
西暦43年,ローマ皇帝クラウディウスによってブリテン島は三度目のローマ軍遠征を受けた。それまでの二度の遠征は二度とも失敗に終わっており,ローマ軍も今度はしっかり準備をし,ウエールズやスコットランドまで攻め込んでいった。
このとき,ブリテン島の東部に暮らすケルト系イケニ族の女王であったボーディシアは,二人の娘達がローマ軍により凌辱されたことをきっかけに武器を取り,イケニ族全員を率いてローマ軍に反乱を起こしたのだった。ローマ軍に不満を持つ部族が次々にこの反乱に加わり膨れあがったが,武力の差は歴然としており,反乱軍はすぐに鎮圧され,ボーディシアも毒を飲んだ。
ローマに屈することを拒んだ彼女は,今,ウエストミンスターで銅像となって空を仰いでいるのだった。
エピソードや銅像の位置を事前に調べておかない限り見過ごしてしまいそうなメモリアルだが,意識して見ると,実に目立つ場所に堂々と立っている。
※写真をクリックすると解像度の高い写真の全体像が見られます。一部のサムネイルは切り取ってあります。
Westminster Bridge Nikon D200
Fujifilm FinePix S2 Pro | ||
目指すウエストミンスター・ピアは,ボーディシアの銅像の横の階段を降りたところにある。
私たちは Bridge Streetを渡り,リバーボートに乗るためにピアへ下りていった。対岸にはロンドン水族館やカウンティホール,ロンドンアイが見えている。どちらを向いてもこの辺りは観光客がいっぱいで,私たちもその大勢の一人にすぎないことから,観光客であるがゆえの肩身の狭さとは無縁な気がして不思議だった。
テムズ川 リバーボート へ進む
観光2日目,長い一日の最後にウエストミンスター・ブリッジ東岸から対岸にある国会議事堂の写真を撮った。その後,ウエストミンスター駅から地下鉄に乗るため,前日は渡ることがなかったこの橋を,東から西へ渡る機会に恵まれた。
※写真をクリックすると解像度の高い写真の全体像が見られます。一部のサムネイルは切り取ってあります。
From Waterloo to Westminster Panasonic LUMIX DMC-FX33
Fujifilm FinePix S2 Pro Nikon D200 | ||
私たちは,この30分程前に,一つ下流に架かるハンガーフォード・ブリッジを渡ったばかり。ウエストミンスター・ブリッジは,この日2度目のテムズ川横断だった。
時刻は既に午後7時。初夏のロンドンの長い日も傾いていて,夕暮れの気配が漂い始めている。
橋の北側には,ロンドンアイや,渡ったばかりのハンガーフォード・ブリッジ,ついさっきまでうろついていたチャリング・クロスの街が見え,行く手では,太陽を背に国会議事堂がシルエットとなっている。そして横を,赤いバスが通り過ぎる。
やはり,誰が見てもそれとわかるロンドンと言えばこの橋の上,赤いバスとビッグベンなのかもしれない。
実はこのときウエストミンスター・ブリッジの南側の欄干が工事中で,橋と国会議事堂とバスを入れた写真は諦めざるを得ず,少々残念だった。
ウエストミンスター駅 平日の夕刻(2008-05-23) へ進む
観光最終日の夜,最後のロンドンの風景は奇しくもまたこの橋の上だった。やはりウエストミンスター・ブリッジはロンドンの要の位置にあるのかもしれない。
ハンガーフォード・ブリッジの袂にあるロイヤル・フェスティバル・ホールでロンドンフィルのコンサートを聞いたあと,私たちはゆっくりとテムズ川沿いを歩き,再びウエストミンスター・ブリッジを東から西へ渡ったのだった。
※写真をクリックすると解像度の高い写真の全体像が見られます。一部のサムネイルは切り取ってあります。
Night scene Panasonic LUMIX DMC-FX33
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青くライトアップされたロンドンアイとそれに続くウォータールー・ミレニアム・ピアは昼間以上にひときわ目立ち,その横のカウンティ・ホールやロンドン水族館も明るく照らし出されている。ロンドンアイの向こうには,遠くチャリング・クロスの夜景が広がっている。
行く手のウエストミンスター宮殿(国会議事堂)は,何故かクロック・タワーの隣の下院会議場と下院図書館の付近だけライトアップされておらず,真っ暗だ。どうせなら全部ライトアップすればいいのにと思うのだが,いつの夜景の写真を見てもこうなっているので,ここだけライトアップされないのが通常なのだろう。
ロンドンとの別れを惜しんでゆっくり歩いたが,やがてテムズ川西岸へたどりつき,下方のウエストミンスター・ピアがよく見えてきた。初日,グリニッジへ向かうリバーボートに乗り込んだときは大勢の観光客で賑わう中,並んでチケットを買って船に乗り込んだのだったが,22時の今は閑散としている。あの時の混雑もまるで夢のようだ。
橋の上から4日間の思い出の地を見回してウエストミンスター駅の出入口にたどりつくと,それを待っていたかのようにビッグベンが22時を告げる鐘を鳴らし始めた。
何という偶然だろう? それはまるでビッグベンからの餞別のように感じられ,私たちは鐘の音が鳴り終わるまでその場で立ち尽くし,クロック・タワーを見上げ続けたのだった。
ウエストミンスター駅 日曜日の夜(2008-05-25) へ進む
外部リンク
・Palace of Westminster(ウエストミンスター宮殿公式サイト)
ロンドン旅行記 index シティ・オブ・ウエストミンスター index