ロンドン旅行記 ★ キュー・ガーデンズ(8)

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参考文献

8. Heritage Tree (2008-05-23)

Princess of Wales Conservatory /D200

 幾重にも重なる三角屋根が目印の皇太子妃の温室(Princess of Wales Conservatory)を後にした私たちは,昼食をとるために,オランジェリーへ向かった。
 オランジェリー(Orangery)は,名前から考えておそらくオレンジを栽培する温室だった建物であろうと思われるが,現在はレストランとして使われている。


ターナーのカシ

 皇太子妃の温室を出ると,そのすぐ西側に「Turner's oak」という立て札のついた大きな木があった。キューガーデンズに数知れず植えられている heritage tree (遺産の木)には皆このような立て札が立てられていて,他の木と区別されているのだ。


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Turner's oak

Panasonic LUMIX DMC-FX33
Nikon D200
Fujifilm FinePix S2 Pro
Turner's oak /Lumix FX33 Turner's oak /D200 Turner's oak /D200

 Turner's oak は1798年に植えられた。樫の木としては異例の半落葉樹で,冬の間は葉をつけているが,春には新しい葉に入れ替わる。エセックス州の育苗家 Spencer Turner によって,1783年に holm oak と English oak の交雑によって作られ,1880年まで植物学上の名前を与えられていなかった。当該標本は数少ないTurnerによる当初の苗木の一つで,この木は接ぎ木でしか増やすことができず,この方法で増やされた苗木の幾つかがキューガーデンズのライラック園の近くに生えている。

 この Turner's oak は,下記のように,キューガーデンズの木の手入れ方法の開発にも貢献した。
 1987年,嵐の突風で Turner's oak は持ち上げられ,その結果,固まっていた根元の土が緩み,根が取り込むための新鮮な空気と水と養分が供給されたのだった。この後,キューガーデンズの古い木々の根元には空気と共生菌をたっぷり含む新しい土が追加されるようになり,木々の寿命を延ばしている。

Turner's oak /S2 Pro Turner's oak /D200 Turner's oak /D200
Turner's oak /S2 Pro Turner's oak /D200 Turner's oak /S2 Pro

 木を見ていると,木陰の暗いところから,ガサッガサッと聞き慣れた音が聞こえてきた。冬の間,シロハラが庭の土を掘り返す音にそっくりな音…と思って振り返ると,シロハラにそっくりな野鳥がシロハラにそっくりな動きで地面を掘っていた。


A pale thrush like bird 5月のキューガーデンズで見かけたシロハラに似た野鳥 → 高画質版

Wild bird /D200 Wild bird /D200 Turner's oak /Lumix FX33
Turner's oak /D200 Turner's oak /D200 Turner's oak /D200
Turner's oak /S2 Pro Turner's oak /S2 Pro

キューガーデンズ、Princess of Wales Conservatory 近くのTurner's oak → 高画質版

イチョウの木

 Turner's oak から2分程歩くと,藤の花が咲く三叉路に行き当たった。この小径を左へ曲がればパームハウス,右へ行けば正門(Main Gate)へと続く。
 目指すオランジェリーは正門のすぐ近く。藤の花を見ながら右へ曲がると,また Heritage Tree の立て札があった。今度は古いイチョウの木である。


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Around the Maidenhair tree

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To Main Gate /S2 Pro guideboard /Lumix FX33 wisteria /Nikon D200

 銀杏の木(Ginkgo biloba)は 2億年も昔から存在しているが,今,野生の木はほとんどなく,私たちはこの木を植物園や庭などでしか見ることができない。

 銀杏は中国東部で尊ばれ,寺の近くに植えられ,伝統的な薬として用いられてきた。実生は消化器のトラブル,二日酔い,喘息に用いられ,葉のエキスは循環器系のトラブルに用いられた。また銀杏のエキスには記憶を助ける効果があり,アルツハイマーの治療薬としての可能性も考えられるが,生息環境が無くなったことで,野生は非常に珍しくなっている。

 この銀杏の木は,2002年の「Queen's Golden Jubilee」で選ばれた「英国の偉大な木」の一つで,1762年に,オーガスタ皇太子妃の「Great Stove」(最初の温室の一つ)の隣に植樹された。現在はすぐ隣の藤の木が目印になっており,英国で最初に植えられた木の一つであろうと考えられてきた。


・この木の俗名の由来は,葉の形が乙女の髪に似ていることである。中国では「アヒルの足の木」として知られている!
・銀杏の木は雌株と雄株に別れていて,雄株は花粉がいっぱいついた尾状花序を形成し,雌株は強い香りのする銀色の実をつける。
・キューガーデンズの科学者たちはこの木の伝統的な使用方法の詳細について研究している。
・銀杏は以前はイチイの仲間と考えられていたが,現在では独立した種とされている。

Maidenhair tree /Lumix FX33 藤の休憩所 /D200 Maidenhair tree /S2 Pro
休憩所 /S2 Pro イチョウの説明 /D200 Maidenhair tree /D200

 私は約250歳。私を踏まないで!

 キューガーデンズでは14000本の木を楽しむことができるが,古い木々には特別のケアが必要だ。
 貴重なイチョウの木のまわりの土は常に柔らかく保たれ,敷き藁で覆われ,根が呼吸しやすいようになっている。キューガーデンズで作られた堆肥で覆い,土の育成を助けているが,それでも根は脆い。
 根を保護するため,小径から中へ入らないで。

Maidenhair tree /D200 藤の後ろの休憩所 /S2 Pro 藤の後ろの休憩所 /S2 Pro

 三叉路の藤の木の後ろ,イチョウの大木のすぐ横に,蔓に囲まれた円形の休憩所があって,木陰にベンチが置かれていた。静かな空気に満たされた,ちょっと特別な雰囲気を醸し出す場所だったが,特に説明書きなどは見あたらず。


ニセアカシア(ハリエンジュ)の木

 イチョウの木から1分ほど歩くと,向こうの方に白いオランジェリーの建物が見えてきた。そして,オランジェリーの前に続く広い草原の中に,また heritage tree の立て看が立っている。今度は Black locust tree,ニセアカシアの木だった。


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The Black locust tree

Nikon D200
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オランジェリーへ向かう /FinePix S2 Pro Around the black locust tree /S2 Pro black locust tree /D200

 この美しいマメ科の植物はアメリカ合衆国東部に自生している。
 優美な羽毛状の葉と芳香を持つ花序を持ち,6月に開花する。ニセアカシアは植物採集者の John Tradescant によって1640年に英国に紹介された。この植物は生長が早く腐敗しにくいため貴重な木材になるであろうと期待された。しかし,実のところ脆く,English oak ほど強くないことが分かり,主に造船で木材を留めるための木釘として用いられた。
 今日,通常は装飾用の木として育てられ,この木もその目的のため1762年にキューガーデンズに植樹された。この木はオーガスタ皇太子妃の9エーカーの植物園の中心,周囲に最高級の木々が植えられた太陽の神殿に植えられていた。これらの木々の多くは Whitton の Argyll公爵の土地からやってきた。公爵はオーガスタ皇太子妃の相談役だったBute伯爵の叔父にあたり,当時の木の採集家のパイオニアだった。


・原産地のアメリカでは,この木は「美味しいアカシア蜜」のための主要な蜂蜜用植物資源だった。
・この種には様々な亜種があり,キューガーデンズで見ることができる。
・太陽の神殿が建っていた位置は,貴方の右側にあるイチョウの木によって記されている。

black locust tree /D200 black locust tree /S2 Pro The Orangery Restaurant /D200

見えてきたオランジェリー

 ニセアカシアの木までやってくると,簡素な白い建物がよく見える。これが目指すオランジェリーだ。
 カフェテリアになっているこの建物の前にはテーブルと椅子が並べられ,テーブルの付近や建物の前の芝生に多くの人が集っている。建物の中も外も,昼食時を楽しむ人々で賑わっている様子だ。


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The Orangery Restaurant

Panasonic LUMIX DMC-FX33
Nikon D200
to the Orangery Restaurant
The Orangery Restaurant /D200 The Orangery Restaurant /S2 Pro The Orangery Restaurant /Lumix FX33
The Orangery Restaurant /D200 The Orangery Restaurant /D200 The Orangery Restaurant /Lumix FX33
The Orangery Restaurant /D200 The Orangery Restaurant /D200 The Orangery Restaurant /S2 Pro

 さて,オランジェリーの中はどのようになっているのか? どんな食事が容易されているのか?
 簡素で上品な白い建物へ向かって自然と足が速まっていった。


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外部リンク
 ・Home | Transport for London (ロンドンの交通)
 ・Royal Botanic Gardens, Kew: Home Page (キュー・ガーデンズ)


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