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6時半起床。ゆっくりと準備をし,7時半頃荷物を出して朝食へ出かける。
朝早いため人も少なく,本日は禁煙席の窓際をキープ。窓からは,ホテル前のロータリーと,向かいの集合住宅らしきカラフルなビルが見えている。
昨日の朝は気付かなかったが,バイキングのメニューにはスパークルワインも用意されており,まずは,朝だというのにスパークルワインとオードブル。その後,パンに温野菜,ソーセージとスクランブルエッグを食べ,最後にフルーツ&ヨーグルトと珈琲でゆっくり。
どの店の珈琲もそうだったが,このレストランでもカップとソーサーの間には薄い紙のコースターが挟まれている。こぼれた珈琲の滴が吸い取られるようにという配慮だろうか?
8時10分,食事を終え,入り組んだ廊下を通って部屋へ戻る。まだ少し時間があったので,シャワーを浴びたり窓からの風景を撮ったり。
そして8時50分,いよいよ部屋とのお別れの時だ。トラブルも多かったが,2日間お世話になった…と思いながら最後の確認をしていていると,朝食前に枕元の机の上に置いておいた筈の枕チップがなくなっていることに気付いた。げっ?! 食事中に勝手に部屋に入って枕元の机まで人がやってきたということ?? 別に何も無くなったりはしていないが,少々気持ち悪い。とりあえず,もうこれ以上のチップは置かずに部屋を出た。
チェックアウトの際,フロントでマイレージ登録について尋ねると,DiplomatではJALのマイル登録ができるらしい。添乗員さんによると「マイレージカードのコピーをとってもマイルはつかないかもしれない」ということだったが,どうせツアー宿泊で目くじらを立てるほどのマイルではない。ダメもとということで登録の申請をしておいた(後に確認すると,300マイル加算されていた)。
マイル登録はよかったのだが,しかし,精算の方でまたトラブル。「カフェを使用した」といって,追加料金を請求されたのだ。何も使っていないというのに気持ち悪い。どういうこと? 今回は添乗員つきのツアーだったので,こういう面倒は全部お任せでありがたいが,個人旅行だったら大変だ。結局間違いということになったが,他にも同じように請求された人がいたようだ。四つ星ホテルだというのに,一体どんなシステムになっているんだか?
精算も終わり,最後にホテルのロビーにあるボヘミアングラスの店で,到着日の夜に見たタンブラーをもう一度見てみたが,昨日買ったタンブラーの方が好みだったということがわかって,心おきなく自己満足(^^)。
ロビーにはガイドのマルヤマさんが待っていて,案内されたバスへ,皆,慌ただしく乗り込んだ。
バスはHotel Diplomatを後に,ロータリーに沿って地下鉄昇降口の横を通り,幹線道路へ。ホテルの向こうには集合住宅が並んでいる。ホテル近くにはバス停もあって,通勤客が利用すると思われる売店が数件。こういう所をのぞいてみる時間がなかったのが残念だ。
ガイドさんの出国案内を聞きながら,せめても最後の風景を堪能するべく私は窓の外を見続けた。
プラハ城の北西,街の中心部からかなり遠い Hotel Diplomatの周囲は住宅街になっているようで,出発から2〜3分もすると道路の両脇は集合住宅だらけ,住人たちの駐車場や洗車場が見えてくる。たまにドームつきの立派な建物があったりするが,教会か何かだろうか? チェコの建物はオーストリアのように装飾だらけではないが,周囲の景観を壊さぬ配慮が感じよく,簡素な美しさがある。
空港までの道のりは12分ほどとあって,出発するとすぐに風景に郊外の雰囲気が漂い,住宅地らしく学校と思しき時計つきの建物や空き地も目立ち始めた。建物の高さが揃っているのは郊外も繁華街も同じで,おかげで街並みには統一感が感じられ美しい。
一戸建てのモダンな家や日本の団地のようなマンションがあるかと思えば,日本ではなかなか見ることのできない煙突から煙が出ている家が近づいてくる。
やがて広々としたトラムの駅が見えてきて,その横にはバス停とマクドナルド,いよいよ街の外れが近づいたことを感じていると,ほどなく木々の向こうに空港らしき建物が現れた。案の定,すぐに駐機している飛行機の姿。バスはエプロンの周囲をまわるようにして駐車場へ着いた。
さぁ,いよいよチェコの空気と別れ,空港の中へ消えなければならない。
ターミナル前に荷物の積み卸しの車やタクシーが駐車している光景は,世界中,どの空港でも似たようなものだろう。管制塔は,首都の国際空港とは思えぬ可愛らしさ。
ターミナルへ入ると大きな画面が並んでおり,その向こうには出国を待つ人たちが長い列を作っていた。日曜日の空港は混雑するのだ。搭乗手続きのカウンターにも,大きな荷物を持った人たちが並んでいて,いつもながらの空港風景を作っている。
我々の乗る便もすでに搭乗手続きを開始しており,ガイドさんから手続きについての説明。チェコの荷物チェックは随分と標準化されていないようで,窓口係によって荷札の名前を全部チェックしたり何もしなかったり,パスポートを確認したりしなかったりで,どんな人に当たるかによって手続きの時間もかなり変わってくるらしい。ガイドさんがまとめてやってくれるそうで,その間はフリータイムにするとのこと。
だが,空港ではもう一つ,大切な仕事が残っている。「チェコでタックスフリーの買い物をした人は?」 …しかし,ガイドさんのこの問いに該当したのは我々だけ。要するに,他の人たちはボヘミアングラスも買わなかったということになる。「ケチらず気づいた物は何でも買ってしまえ」と心に誓って旅行したので,今回のように旅慣れた人ばかりのツアーでは買い物量がダントツになってしまったのだった(^^;。
そういうわけで一旦解散した後,他の人たちはフリーで売店をぶらぶらし,その間中ずっと,我々はタックスフリーのカウンターの列に並んで過ごすことになってしまった。それほど長い列でもなく最初は安心したのだが,とにかく列の進みが遅いのだ。普段から日本人の手早くキビキビした仕事に慣れきっているため,こちらの人はこれで困らないのだろうかと不思議になってしまう。困らないんだろうなぁ。
だが,我々は困るのだ。免税以外にマイル加算の手続きもしたいのに,これでは時間がなくなってしまう。添乗員さんに列の順番待ちを少しだけお願いし,その間にカウンターへ行って手続きを済ませることにした。
行きのアムステルダム−ブダペストがKLMオランダ航空&ノースウェストとマレーブ・ハンガリー航空のコードシェアだったように,今回もKLMオランダ航空&ノースウェストとチェコ航空のコードシェア。カウンターへ行くと "KL1352"というKLMオランダ航空の便名と,"OK4626"というチェコ航空の便名が並んでいる(どうでもいいけど,モニターはSONY製だ(^^;)。
おかげで KLMに乗るというのにチェコ航空のチケットになり,観光旅行の旅人としては嬉しいことだ。
マイル登録の後も長々と並んでようやく免税手続きが終了した頃には,フリー時間の残りは10分となっていた。手続き自体は,ボヘミアングラスはノーチェック。スーパーで買った帽子&バッグは物品と値札まで確認された。グラスは当然のお土産だが,スーパーで免税金額に相当する買い物をするなんて不審なことだったのかもしれない。
残り時間10分を堪能すべく売店へ急ぐと,店の前で出会った同じツアーの飛行気好きな娘さんが,マイナーな飛行機の絵葉書がいっぱいだと教えてくれた。慌てて絵葉書を見ているところへ,今度はHさんがブダペストで買っていた木のニワトリのおもちゃも売っているという情報。慌てて教えられた店へ行ってみる。
何とそちらには更に多くのマイナー飛行機の絵葉書があったのだが,タイムリミット。見ている暇も買っている暇もなかったが,日本でも手に入りそうにない全日空のフレンドシップの絵葉書まで売っているのを発見。飛行機ファンが多いのだろうか(^^;?
10時30分に再集合。最後の地,チェコ国際空港ともお別れで,あとは帰国に向かってまっしぐらだ。名残を惜しみ,全員で集合写真の記念撮影。
その後,長い長い,出国手続きの列へ並んだ。本当に,列は呆れるくらいなかなか進まない。この列を見越して早めに来ていたはずなのに,時間がどんどん過ぎていき,手続き終了後に免税の返金手続きをする暇がなくなってしまうのではないかと心配でたまらない。どうせ返金も長蛇の列なのだろう。イライラしている私をよそに,前に並んでいるスペイン人の女性たちは楽しそうに談笑していて,あっぱれだった。確かに旅は楽しむものなんだよね(^^;。。。
しかし,困っていたのは私たちだけではなかったようで,丁度私たちの番が回ってきたところで,もうすぐ出発のモスクワ行きの便に乗るロシア人のグループがやってきて,急いでいるから先に行かせてもらえないかと頼んできた。私たちには少なくとも彼らよりは余裕があったので,どうぞと言うと,彼らは「スパシーボ」(ありがとう)と言って出国していった。間に合ったかな?
ようやく順番がまわってきた出国は,ボーディング・パスとパスポートの確認をしただけで,スタンプも何もなし。列の進みがあんなに遅かったのでさぞかしゆっくりの手続きなのかと思っていたが,どうなっているの? しかもあまりにも急いでいる様子で,とても「Stamp, please」なんて言う余裕も無い。チェコは入国も出国もスタンプなしで,パスポート上では旅行を確認できない国になってしまった。
しかし,出国審査官は,何故か私に「ありがとう」と日本語で言ってにこにこしてくれる。
出国すると,この空港での最後の仕事,チェコで払った税金の返金手続きだ。
添乗員さんの説明を聞いてカウンターへ行くが,日曜日のせいか,閉まっているところもあり,開いている窓口は予想通り長蛇の列。
言うまでもなく列の進みは本当に遅く,添乗員さんもやってきて心配して様子を見てくれているうちに,別の窓口が開いて列の後ろの方の人はかなりそちらへ流れたが,私たちはそのまま残って順番待ち。返金窓口の周辺は広々とした窓になっていて,飛行機が次々とやってくるのが唯一の慰めだった。当たり前だが,圧倒的にチェコ航空の飛行機が多い。
返金が何とか終わると,もう時刻はギリギリ。だが,意外に沢山の返金があったので,やはり待って手続きを行って正解だった。
急いで搭乗口へ向かおうとすると,目の前にまた珍しい飛行機が一機。B747やA340などの大きな飛行機は見かけないが,どんより曇った雪の空港には,見たことのない航空会社の小さな飛行機が入れ替わり立ち替わりやってくる。紺色の線にロシア国旗の三発機は Aeroflotロシア航空(URL)の飛行機だろうか? 窓の前には広告塔が立っており,旅行の間,中欧各国で見かけた様々な広告塔が思い出された。
搭乗口へ着くと,もうほとんど最後。
急いでセキュリティチェックを受けると,ポケットにはティッシュしか入れていないのにひっかかってしまって,再チェック。何故いつも? 全員に音を鳴らして再チェックしているわけではないよねぇ(^^;?
飛行機は,KLMオランダ航空の B737-400。
もう誰も通っていない通路を通って乗り込むと,席は後ろから2番目の窓際からだった。
KLMの飛行機だが,ポケットに入っている機内誌はチェコ航空のもので,民族衣装の少女が可愛らしい。
プラハはブダペストよりずっとアムステルダムに近いので,フライトは1時間10分ほどで国際線といってもあっという間だ。ブダペストからプラハ,8日の間に随分な距離をバスで移動していたのだと改めて思う。
時間も短いので,機内サービスはナッツと洋菓子,ドリンクのみ。ドリンクはビールを頼んだが,日本では見かけない250ccのハイネッケンで,缶を持って帰りたい衝動にかられてしまった。白ワインも日本では見かけない南アフリカのワインだったようで,ヨーロッパにいると,こんなところでもアフリカが近いことを感じてしまう。
離陸から1時間ほど経って飛行機の高度が下がってくると,広大な冬枯れの畑が眼下に広がっていた。整然と作られた幾何学的な街がエキゾチックだ。星形の城塞都市は,函館五稜郭のモデルとなったナールデン。さらに高度を下げていくと,たくさんの園芸施設が見えてくる。アムステルダム近郊の花卉園芸農家だろうか。張り巡らされた運河には船着き場がありボートが何隻も停泊している。
やがて運河沿いに走る車が確認できるようになり,飛行機は明るく晴れわたったスキポール空港へ降り立った。
我々の B737-400は,オランダのトランザビア航空の飛行機(Transavia Airlines, URL)と,アイルランドのスカイネット航空の飛行機(SKYNET Airlines, URL)の間へと進み,ゲートへ到着した。向こうをタキシングしている飛行機はどこの航空会社のものだろう?
KLMオランダ航空の空色と空の青がやたら似合っているのを眩しく感じる到着だった。
飛行機を降りたところでツアーの人たちと最後の再集合。乗り換え案内を確認し,少し移動したところで添乗員さんから最後のチケットが配られた。チェコでチェックインを済ませてあるので,やはりチェコ航空のチケットだ。彼女が全員の前で話をする最後の機会でもあり,簡単に添乗員さんから挨拶があって解散。とうとう旅も最終段階だ。
解散後,しかし,私たちはまたしても自由ではない。今度はオーストリアで買い物した分の税金返金手続きをしなければならないのだ。EUの国で払った税金はEUを出るときに返ってくる仕組みなのだった。
こちらのカウンターは,日本の銀行のように,発券機でチケットを受け取って順番の番号が呼び出されるのを待つシステム。ヨーロッパのハブ空港とあって設備も整っている。チェコのような長蛇の列に並ぶこともなく,カウンター手続きはあっさりと終わった。返金も意外に多くて嬉しい。ヨーロッパを旅行したら免税手続きは必須だな。
ここでようやくフリーになった私たちだが,飛行機に乗るまで,まだ1時間近くもある。出発はF6ゲートなので,ゆっくりそちらへ向かいながら,空港内のショップを見たり,お手洗いを済ませたり。「そういえば」と思い出し,同行者に頼んでスキポール名物?男子トイレの虫も撮ってきてもらう。男子トイレの汚れ対策にスキポール空港当局が考え出したアイディアだそうで,便器に虫を描いて以来,トイレの汚れは劇的に少なくなったとか? 男性になったことがないので,こういう心理はわからないなぁ(^^;。
スキポール空港はオランダ最新の街 "AirportCity" と銘打っているだけあって,インターネット・コーナーに寿司バー,カジノ,瞑想室,モダンアートの展示などなど,何でもある。特に "See Buy Fly" という名の売店はどこかしこに店を構え,ブランド品から民芸品,食べ物に書籍などあらゆる物を売っている。 旅心を誘う "See Buy Fly"という名と飛び立つYの字につられ購買意欲がかき立てられるから,なかなか商売上手ではないか? しかも,搭乗口のすぐ手前にある店舗は "Last Minute Shop"。「ここで何か買わなきゃお終いだ!」って気分になってしまう。
だが,幸か不幸かこれ以上買いたい物も見つからず,一通り店内をうろつくとゲートへ向かった。オランダのチーズがこの上なく美味しそうだったが,暖かい機内へ持ち込むことになるので諦めた方が無難だろう。本屋では本棚いっぱいに並んだ英語の旅行ガイドブックの中に日本のガイドブックを見つけ,日本全体のガイドブックなんて日本では手に入らないと思ったが,これも買っていっても仕方がない。
搭乗ゲートF6へ行くと人が溢れており,座る場所もない。おそらく今日も full passenngerなのだろう。
飛行機は今回もハイテクジャンボ機 B747-400で,今度は“Bangkok”という名前がついた機体だった。行きの飛行機で,冬の旅では皆がコートをキャビネットへ仕舞うので早く搭乗しなければ荷物を入れる場所がなくなることを学んでいた私たちは,早めに搭乗。往路に続いてラッキーで,席は後ろから2番目左側の窓際二人がけだった。長い旅,ゆっくりくつろぐことができて大変嬉しい。よい席をとってくれた添乗員さんとガイドさんに感謝しなければ。
窓の外を見ると,自分の乗った飛行機のウィングレットに隣の飛行機の垂直尾翼などが重なってKLMだらけ。向こうの方にノースウェストのDC-10が見えているので,このあたりはワールド・パークスが使うエプロンなのだろう。
席に座って落ち着いた頃,CAさんが発行されたばかりという日本語の機内誌『和蘭』を配ってくれた。オランダ観光局とKLMとの共同発行ということで,地図やオランダの話題が載っている。行きの機内では配られなかったが,この1週間の間に新刊されたのだろうか?
機内には,相変わらず食事メニューなどはなく,テレビモニターも天井からつり下がっているもののみ。往路の座席のように真上を見上げないで済むのはよいが,字が小さすぎてやっぱり少し見にくいかも。
プッシュバック開始は,定刻11時05分に少し遅れ,11時18分。"Bangkok"は広大なスキポール空港を悠々とタキシングし始める。V1,V2,離陸…。
旅先の空港を飛び立つときの,言いようのない寂しさが押し寄せる。
ネーデルランドの大地は見る見る遠ざかり,あっという間に空の上だ。飛行機はアイセル湖の上へ出て,その東海岸を北上,沿岸の街の上を,そしてフローニンゲンあたりの海岸の上を通り過ぎ,オランダとドイツの国境を超えて,かなり北よりのコースを進んでいく。オーロラが見えるとラッキーなのだが?
やがて最初のミールサービスが始まり,CAさんが飲み物の注文を聞いてきた。
せっかくKLMに乗ったのだから,日本でも飲めるハイネッケンではなく,旧オランダ領のアルバを訪れたときに飲んだ懐かしい Amstel Beerを飲みたいものだ。「What kind of beer do you have ?」と尋ねてみると,CAさんはトレイを開いて見せてくれ,私たちが Amstel light を指さすと,彼女は「Do you like this ?」と聞いてきた。日本人がこれを指定するのは珍しかったのかもしれない。
離陸から丁度1時間,飛行機はドイツとデンマークとスウェーデンの国境あたりに差し掛かり,左はコペンハーゲンという機内アナウンス。向こう岸の突き出した部分がコペンハーゲンで,橋は2000年に開通したスウェーデンのマルモとコペンハーゲンを結ぶ橋だろう。向こうには,かすかにティコ・ブラーエのベン島(地図)も見えている。デンマーク王フレゼリク2世に才能を認められたティコは,1576年,このプライベートの島に天文台を建て,多くの観測を行ったのだ。王の死後,ルドルフ2世に招かれプラハに移った彼はそこで没し,ティーン教会へ葬られた。旅の終わりにティコ・ブラーエの拠点を2箇所も見ることになって,何だか不思議な巡り合わせに思われた。
やがて,マルモの上空をかすめ,モニターの地図はスカンジナビア半島の南端を指す。凍るような風景だと思ったが,後から付近の地図と比べてみたところ本当に海が氷で覆われていたようだ(^^;。
運ばれてきたミールは,チキン or パスタ。私はチキン&白ワイン。
チキンは照り焼きでご飯付き。おそらく成田線を意識した日本人向けの味付けと思われる。ここはパスタの方が正解だったかも?
白ワインはフランス製で,赤ワインは南米製だ。白ワインはどこで飲んでも似たような味の物ばかり出てくるが,赤ワインの方はそれより少しバラエティに富んでいる。
デザートのチョコレートケーキは見るからに甘そうだったので警戒しながら食べてみたが,甘すぎず非常に美味しい。やっぱりヨーロッパの味付けは…(もういいって(^^;)。
食事の間に飛行機はバルト海の中程まで進み,ゴトランド島の南端を通りかかる。相変わらずの白い大地で,ここも地図と比べてみると,まるで地形が変わったように入り江が氷に覆われていた。
バルト海を越えたら広いロシアの大地をひたすら渡っていくだけだ。食事をしながら日本時間の日付変更が訪れ,いよいよ名実ともに旅の最終日,2月17日を迎えたのだった。
食後は映画をやっていたが,英語onlyだし,大きなエンジン音の中で強弱の激しい英語のヒアリングは困難を極める…というわけで,観賞は断念。
4時間ほどするとリフレッシュ・タイムがやってきて,往路の便と同様カップヌードルとアイスクリームの選択だった。帰国後も国内で旅が続くので,ここはヌードルが妥当だろう。しかし,やってきたのは行きの便とは違って上海製の海鮮麺。量が多く蛸など具もたっぷり入っていたが,味は日本製のカップヌードルの方が断然美味しかったのだった。
飛行機はKLMオランダ航空が持つルートの中で最も北のコースを通っており,ずっとシベリアのツンドラの上を飛んでいる。残念ながらオーロラは見えないようだ。だんだん夜を抜けて明るくなってきたので,添乗員さんに頼まれたアンケートを記入。終わった頃に2度目のミール・サービスがやってきた。
行きの便では2回目の食事も飲み物を自由に選ぶことができたのでワインを飲んだのだったが,帰りは何故か coffee or tea (English tea & Japanese tea)のみ。食事の内容も,美味しいのだが,何となくイマイチ。同じ便の往復なのに,何でこんなに差があるのだろう? ちょっと謎。
少々イライラさせられたのは,サービスが非常にゆっくりだったことで,食事をしている最中にもう雲の下には日本の海岸が見えてきた。そして,かなり下降してスリッパから靴に履き替えたいと思う頃になっても食事のトレイが回収されない。大丈夫なのだろうとは思うが,落ち着かない。シートベルトサインも本当にギリギリになるまで表示されず,サインが出る頃にはもう緊急という感じ。日本の航空会社とは随分違っているものだ。
飛行機は一旦太平洋に出た後,利根川河口上を通過。おそらく時間調整をしながら,ゆっくりと九十九里浜から陸地へ入り,成田を目指す。失速寸前で地面に着くお手本のような着陸で,定刻 09時25分より少々遅れた 09時29分,我らが "Bangkok"は成田の滑走路へと降り立った。国際線としてはほとんど定刻と言えるだろう。空港をゆっくり移動し,出発の日に搭乗したのと同じ,第一ターミナルの46番ゲートを目指す。
ターミナルに到着し飛行機が停止したのは着陸から約15分後で,長旅に疲れた乗客たちはシートベルトサインが消えるのも待ちきれない様子で立ち上がった。しかし,我々は後ろから2番目の席。飛行機を出るまでかなり時間がかかるはずなので,ゆっくり立ち上がって荷物を降ろす。お世話になったCAさんに挨拶をしたかったが,彼女はずっと最後部にいて機会がないまま飛行機を降りた。
さようなら,"Bangkok"。
出発の日,嬉々と進んだ同じ通路を今度は反対方向へ静かに歩く。安堵感というより,やっぱり寂しい。旅が終わった寂しさもあるが,成田のこの閑散とした様子は一体何? いくらシーズンオフとはいえ,これが日本の玄関だと思うと寂しすぎる(^^;。だが,一々美しく整然としており,これが日本なんだとも改めて思う。
最後に飛行機を出て,最後に荷物受け取りカウンターへ着いた我々だったが,案の定,荷物は非常にゆっくりでまだ出てこない。周辺には麻薬犬が何匹かウロウロしており,荷物が出てくるのを待つ間,何となくみんな集まって,添乗員さんと話をしたりして時間をつぶしていたのだが,彼女は,通りかかる他のツアーコンダクターの方々何人もに声を掛けられており,やっぱりベテランの添乗員さんだと思ったのだった。
ツアー参加者の中に,成田でトランジットして福岡へ帰る女性がいたが,幸いにして荷物が早めに出てきたようで,乗り換えの時間が迫っていると言って急いで帰っていった。彼女が去った後もかなり待って,私たちの荷物はようやく出現。特に損傷もなく,添乗員さんに無事を報告,別れを告げて税関へ向かった。さぁ,これでツアーは本当にお終い。
ヨーロッパからの肉類の持ち込みが規制されていたこともあって何か尋ねられるかと思ったが,税関は,何てことなくフリーパス。
京急乗り場へ直行してプラットホームに立ったのが,飛行機がゲートに到着して40分ほど経過した10時25分。同じプラットホームで,ツアーの参加者と一緒になったので「お世話になりました」と挨拶して別れた。電車はまたしても佐倉乗り換えで,羽田へ着いたのは12時45分頃。大きな荷物の番をしながら疲れて時差ぼけで移動する成田−羽田の2時間強は,ほとんど地獄だ。
しかし,やっと着いた羽田でも一仕事待っている。国際線からの乗り換えということで,大事をとって羽田−熊本は夕方の便をおさえてあり,疲れているのに,更にここで何時間も待たなければならないことになっているのだ。バーゲンチケットなので本来変更はきかないと思ったが,出発間際の次の便(14:00発JL195便)に空席があり,幸い変更してもらうことができた。本気でありがたい!
さっさとセキュリティ・チェックを済ませゲートへ向かうと,ポケモンジェットのB747。おぉ,日本だ!
搭乗口の売店で野菜ジュースとサンドイッチを買って軽食を取っていると,ポケモンジェットのB767も通り,ANKのイルカ塗装のB737-400やANAの波模様B777-300など珍しい飛行機が多数通り,懐かしい。
我々の最後のフライトを飾る飛行機,JALのB767-300は,JALの飛行機が並ぶエプロンに既に待機している。慣れた国内便の搭乗を済ませて乗り込んだ飛行機は,JALらしい細やかなサービスが心地よい。あぁ,これが日本,と,また思う。JAL特製のキウイジュースを飲んで,最後のフライトを楽しんだ。
16時過ぎ,熊本空港の到着口を出た私たち。
ふと気付いて驚いたのは,がさがさボロボロだった手足の皮膚が,すっかり潤っているということだった。成田到着から,まだ,たった6時間半ほどしか経っていないというのに,何という劇的な変化!? 日本って,本当にジメジメしている国だったのね。そして,これを快適と思う私たちだったのね。
「絶対にボディーローションとハンドクリームをたっぷり持参すること!」次回の欧州旅行への教訓を胸に(^^;,リムジンバスへと乗り込んだのだった。
そう,また絶対に行くぞ,プラハにもウィーンにもブダペストにも。
本当に,飽くことなく何日でも旅を続けられそうな素晴らしい中欧の国々だった。
●プラハ・ルズィニェ空港 Praha Ruzyne Airportのホームページ
●スキポール空港 Schiphol Airport のホームページ