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おおぐま座 は,北斗七星を含む大きな星座で,春の宵に天頂付近に達します。下の星図の白い+印はおおぐま座 が南中したときの天頂の位置で,おおぐま座 を探すときは北を向くことになるため星図は北を下にして描いています。
北斗七星は,下の星図で太線で結ばれている6個の2等星と1個の3等星。カシオペヤ座 が見えにくい春夏の季節,北極星を見つける案内役として,また,年中北の空のどこかで時を告げる“北の大時計”として世界各地で親しまれている星列です。
北斗の“斗”は柄杓(ひしゃく)のような舛(ます)のことで,日本では,北斗のほか,七つ星,七夜の星など様々な名前で呼ばれてきました。(北斗七星の和名)
北斗七星を車とする見方も,世界各地で知られています。
中国では“帝車”,英国では“チャールズの車”。北斗七星のうち,舛の部分の4星を車に,柄杓の柄に当たる3星を車を引く人か馬に見立てると,北極星の回りをグルグル回る車の姿がイメージできます。
おおぐま座 の中で北斗七星は熊の背中から尻尾の部分にあたり,おおぐま座 を結ぶときには,北斗七星と,熊の爪先を見つけると全体像がつかみやすくなると思います。3本の脚の先には各々2つの星が似たような間隔で,ほぼ平行に並んでいるのです。3等星と4等星ばかりですが,意外に目立ちます。
また,4等星や5等星が多いおおぐま座 の星がしっかり結べるような暗い空なら,ぜひとも,北斗七星の柄の先から2番目の星を,じっくり見てください。2等星の脇に小さな星(4等星)がくっついているのが見えるかもしれません。この2星は“馬と乗り手”と呼ばれ,古代の人々が視力検査に使っていた星なのです。2つの星がしっかり分離して見えたら,視力検査合格というわけです。
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ギリシア神話では,おおぐま座 は,アルカディア王リュカオン(おおかみ座 )の娘で月の女神アルテミスの侍女だったカリストの姿。
狩りが得意な美しい娘カリストは,大神ゼウスに見そめられ,アルテミスに化けて近づいたゼウスとの間に男の子を身ごもってしまいます。そして,ゼウスの妻ヘラの怒りにふれ,熊の姿に変えられたのでした。
カリストが生んだ男の子アルカスは,時が過ぎると狩りの名手に成長します。そして,自分の母とも知らずに森の中で出会った熊に向かって槍をかまえることになるのです。これを見たゼウスは,母殺しの罪を犯させまいと,アルカスも熊に変えて二人を空に放り投げました。
この時,ゼウスが慌てて二人の尻尾をつかんだので,大熊と小熊の尻尾はアンバランスに長くなり,また,星座になってもヘラの怒りはとれず,大熊と小熊は地平線下に沈んで休むことを許されず,天を回り続けているのだとされています。
おおぐま座 の詳しいお話は星の停車場を,星の名前については星のるつぼをご覧下さい。