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ちょうこくしつ座 は,18世紀に喜望峰で南天の星を観測していたフランス人天文学者ラカイユが,もともと星座がなかった領域に制定した星座です。ラカイユは“彫刻家の仕事場(アトリエ)座”という名前をつけ,台に乗った作りかけの胸像と,その周辺に散らばったのみと槌を描いていました。“彫刻室”というより“彫刻室に置かれた道具”座というイメージで,ラテン語でも,以前は“彫刻家の道具”座でした。
4等星以下の星がまばらに存在するだけのこのあたりに画家の仕事場を想像するのは難しいと思いますが,くじら座 の南,みなみのうお座 の東に位置するため,場所を把握するのはそれほど難しいことではありません。
まず,秋の空の案内役,ペガススの四辺形(ペガスス座 )から,くじら座 の2等星デネブカイトスと,みなみのうお座 の1等星フォーマルハウトを見つけます。この2星は秋の南天で一際目立っていますから,すぐに見つけられると思います。デネブカイトスの南にはちょうこくしつ座 のα星(4等星),フォーマルハウトの東にはちょうこくしつ座 のγ星(4等星)がありますので,ちょうこくしつ座 のだいたいの大きさがわかりますし,ちょうこくしつ座 の周辺には星が少ないので,星図をたどれば星座線を結ぶこともできると思います。
このあたりに星が少ないのは,ちょうこくしつ座 α星の近くに,銀河の南極があるためです。銀河系内の星々は天の川となって見える銀河の赤道付近に集中していますから,北極と南極はまばらで,逆に遠くの銀河が見渡せる領域になっています。
ちなみに,銀河の北極があるのは,春のかみのけ座 。ちょうこくしつ座 はかみのけ座の正反対の場所にあたります。
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ちょうこくしつ座 やラカイユのお話については,星の停車場もご覧下さい。ちょうこくしつ座 に固有名のついた星はありません。