金星の日面通過

※転載・複製は,一切お断り致します。
(c) 2012 Mira House. All rights reserved.


 金星の日面通過とは金星が太陽面を通っていく,金星版の日食とも言える現象です。日食が新月の時に起こるように,金星の日面通過は内合の時に起こります。
 内合の度に日面通過とならないのは,金星の軌道面が地球の軌道面=黄道面に対して約3.4°傾いているため。黄道と白道が約5.2°ずれているため新月の度に皆既日食や金環日食が起こらないのと同じです(日食のおこる条件)。

 そういうわけで,金星の軌道面と地球の軌道面=黄道面の交点付近を金星が通過する時に内合となった場合のみ,地球から見て金星と太陽の方角がぴったり重なり,金星が太陽の前を通過するのが見られます。
 交点は地球の6月7日頃と12月9日頃と決まっているため,この前後で内合が起こった場合に金星の日面通過となります。2012年の金星日面通過は6月6日に起こり,2004年は6月8日に起こった所以です。


 ところで,金星の日面通過は非常に珍しい現象です。
 2004年と2012年に8年をおいて起こっていますが,2004年の前は1882年で,2012年の次は2117年。おおよそ 8年 - 121.5年 - 8年 - 105.5年 という,合計243年に渡る周期で訪れます。
 1882年の金星の日面通過は日本では見られなかったため,2004年は日本では1874年以来130年ぶりとなりました。1874年の金星日面通過の時は条件が良い日本へと欧米から観測隊が訪れ,観測記念碑が残っています。→ 1874(明治7)年の金星観測記念碑

 金星の内合は約584日ごとに訪れ,この周期を金星の会合周期と呼びますが,会合周期の5倍=2920日と地球の公転周期の8倍=2922日がほぼ等しいため,金星の日面通過が1回起こると8年後に再び起こることが多く,2004年6月から8年経った2012年6月に起こるのはこのためです。
 しかし,2920日と2922日では2日ほどの差がありますから,更にその8年後には日面通過の条件を満たさなくなり,8年間隔で見られるのは2回で終わり。次の条件を満たす日までは100年以上かかるのです。

 なお,243年という周期は,地球の243恒星年(1恒星年365.25636日)=88757.3日と金星の395恒星年(224.701日)=88756.9日が,ほぼ同じになることから求められます。




2012年6月6日の金星の太陽面通過

 折しも台風3号が太平洋側を通過し,西日本は晴天に恵まれたところが多かったのですが,関東地方は前の夜から雨となり,当日も雨が降ったり止んだりのあいにくの空模様でした。
 ほぼ絶望的と思われる分厚い雲でしたが,かろうじて第3接触(東京では13:29:59)の前後で現象を確認できました。

2012年06月06日 @東京都文京区
金星の太陽面通過
金星の太陽面通過


 下は水星の太陽面通過の写真です。水星に比べると金星は随分大きいことがわかると思います。
金星の太陽面通過




Home   星空入門へ戻る   惑星を見てみようへ戻る