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日食とは,月が太陽の前を通って,太陽を隠してしまう現象です。
太陽・月・地球がこの順番で一直線に並んだとき,地球上に月の影が落ち,影が落ちた場所では太陽が月に隠れて日食となるのです。
日食は,かつては不吉なものとして恐れられていました。
例えば古代日本の,天の岩戸に隠れたアマテラス大御神を呼び戻す神話は,日食のことを語ったものだとも言われています。
日食は,必ず新月のときにおこります。
月は,太陽に近いときほど細く,離れるに従って大きくなっていくように見えますね。日食の時は,太陽と月が同じ方向に見えるのですから,月が一番小さくなるとき=新月であるというわけです。
月が地球の影を通る月食の方は,日食とは反対に満月の日にしか起こりません。
ところで,新月はほぼ1ヶ月ごとに巡ってくるのに,日食は,時々しかおこりません。
それは,地球から見た太陽の通る道(黄道)と月の通る道(白道)が,わずかにずれていて,新月でも太陽と月がピッタリ重ならないことが多いからです。
日食は,太陽が完全に隠れてしまう皆既日食と,縁の部分だけを残して隠れる金環日食の2種類に分けられ,このどちらになるかは月の見かけの大きさによって決まります。
月は楕円軌道を描いて地球の周りを回っており,地球と月の距離は常に少しばかり変化しています。
そのため,月が近い所にあるときは見かけの大きさも大きくなって,太陽を完全に隠してしまいます。このとき皆既日食が起こるのです。
皆既日食になると,明るい太陽が隠されるため,まるで夕暮れのような風景が見られます。その他にも,普段は見られない珍しい現象を色々観察することができます。その中のいくつかを,下に挙げてみました。
また,月が比較的遠くにあるときは,その見かけの大きさは少しだけ小さくなって,太陽を完全に覆い隠すことができなくなります。
このとき,金環日食といって輪のような太陽を見ることができます。
日本で日食がおこると,テレビのニュースなどで欠けていく様子が放映されます。けれど太陽が欠けているだけで,皆既日食や金環日食ではないことがほとんどですね。どうしてでしょうか?
月が落とす影は地球に比べたらずっと小さなものなので,地球の一部の地域にだけ落ちることになります。そのため,皆既日食や金環日食は,地球上のごく限られた狭い地域でしか見ることができないのです。その地域を離れると,皆既日食や金環日食であっても太陽全部が月に隠されることはなくなり,部分日食が見られます。
部分日食とは太陽の一部が欠けて見えるもので,部分日食の時の太陽の欠け方は,皆既や金環になっている場所から遠くなるほど少なくなります。部分日食の欠け方は,太陽が全部隠れたときを“1”として,隠れている部分の割合を食分(しょくぶん)という言葉で表します。
食分は,少し場所を移動すると随分違ってくるもので,例えば1987年9月に沖縄で金環日食が見られたとき,金環となった沖縄での食分は0.971(太陽の97.1%が隠れている)でしたが,鹿児島市での職分は0.824,大阪では0.673,東京では0.577,稚内では0.381となりました。
また,日食であれば必ずどこかで皆既か金環になっているというわけではなく,日食によっては,地球上のどの場所でも皆既や金環にならず,部分日食しか見えないこともあります。
太陽を直接見てはいけません。では,どうやって観察したらよいのでしょうか?
大切なのは,太陽の光に含まれる紫外線で目を痛めないようにすることです。1000円くらいで市販されている日食観察用グラスは,紫外線カットのテストもしてあって安心です。望遠鏡販売店や眼鏡屋さんで聞いてみましょう。
望遠鏡を使う場合は,望遠鏡の前に太陽専用のフィルターをつけるか,接眼部分に専用のサングラスをつけましょう。長い間望遠鏡を太陽に向けていると,サングラスが熱くなって割れることがあるので注意して下さい。他に望遠鏡を使う方法として,望遠鏡の接眼レンズの前に白い紙を置いて,太陽像を投影して見る方法があります。この方法は天体望遠鏡以外の単眼鏡にも応用できますから,身近な機材で試してみましょう。
このような機材が何も手に入らなくても,心配はいりません。そんな時は近くの木陰へ行って,木漏れ日を見てみましょう。いつもは丸い木漏れ日が,太陽の形に欠けて見えます。紙に小さな丸い穴をあけたりして,人工的な木漏れ日を作ることもできますよ。その様子を写真に撮ったりスケッチしてもいいですね。
いろいろと工夫して,自分なり観察を楽しんでみましょう。
●皆既日食の体験記
いつかコロナを… (1991年ハワイ島〜メキシコ皆既日食)
アルバの風の想い出 (1998年カリブ海諸島〜南米皆既日食)
それではまず,家から見られる部分日食から観察してみましょうか。