“ユリ”は,ユリ科ユリ属 Lilium に属する植物の総称で,昔から観賞用・薬用・食用などとして利用されてきました。
“ユリ”の名は,大きな花が風に“揺る”又は球根の鱗片が“より”重なるが由来といわれ,“百合”という漢字は多くの鱗片が重なる様子からきています。
ユリは,ギリシア及びローマの神話では母性の女神ヘラ(ユノ)の聖花。
息子ヘラクレスを強い子に育てたいと思ったゼウスが,ヘラクレスに寝ているヘラの乳を飲ませようとすると,ヘラクレスがあまりに勢いよく乳を吸ったため,ヘラは驚き怒ってヘラクレスを引き離します。この拍子に天と地へほとばしったヘラの乳が,天では天の川になり,地に染み込んだ所からはユリが生えてきたのだといいます。
ユリは,古代イスラエルやキリスト教では純潔と清らかさの象徴とされ,カトリックの国では祭日にマリア像をユリで飾ったりします。
このように,ユリは純潔や美のシンボルである反面,死や悩みのシンボルでもありました。ドイツでは,墓地に飾るユリは死者から生者への挨拶であるとか,無実で死んだ者の復讐を告げるものだと言われます。
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