消えゆくためのいとなみ

時の流れは優しいだろうか。辛い一面ばかり見る一年だった。

そんなことを言っても仕方がないのだ。
全ては時の流れにさらされ風化してゆく存在。

だけど私は悟ることもできず、いつもいつも、
ただひたすら時の流れを怨み、ただただ苦しみに耐えている。

かつて輝くように大切だった何かは今になって台無しにされ、
あるいは惨めに哀しく衰えてゆく。

胸を突き刺され息もできず喘いでいるのに、
何が何でも見据えて受け入れろ、こんなの序の口なんだよと、
時は淡々と宣告する。

そうだよわかっている。
澱まず流れ去る時の旅は後半になるほど辛くなるだろう。

耐えられそうにないから、もうここいらで退散させてください。

誰に願っても叶えらることはない、空しき願いを心に描き、
行き場のないやるせなさに対抗する手段を探しまわり、
結局はただそっぽを向いて、ため息をつく。

何もかも奪われたら、いつかこの世に未練もなくなるだろう。

時の向こうの朝