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ギリシア神話に登場するオリュンポス12神の一人で,大地の実り,麦の豊穣を司る農業の女神。名前の“meter”は“母”を示し,“de”“大地”又は“麦”を示す。
ローマ神話ではケレス(Ceres)に相当する。
クロノスとレアの娘。
誰かの妻になったことはないが,冥府の女王となったペルセフォネ(Persephone)という娘がある。本来ペルセフォネはデメテルの分身であったと考えらている。
デメテルの娘ペルセフォネは大変可愛らしい娘であったが,デメテルの兄弟でもある冥府の王ハデスに見そめられ死者の国へと連れ去られた。娘を捜してさまよったデメテルは,アテナイ郊外のエレウシスで王ケレオス(Keleos)の子の乳母となり,王子を不死身にしようと火の中へ投げ入れたところを見とがめられる。怒って姿を現したデメテルは,エレウシスに神殿を築き,祭儀を行うよう命じて去った。
この間デメテルが仕事を放棄していたため,大地は実らず人々は困り果てていた。困ったゼウスは,兄であるハデスにのもとへ伝令神ヘルメスを遣わし,ペルセフォネを母の元へ帰すようにと命じたが,ペルセフォネはすでに冥府のザクロを食べており冥府を去ることができない身体になっていた。冥府の食物を口にした者は,そこに留まらなくてはならないことになっていたのだ。
そこでゼウスが提案し,ペルセフォネは1年のうちの4ヶ月間を冥府で過ごし,残りを母と共に天上で過ごすこととした。おかげでデメテルの怒りも収まって,大地には実りが戻ってきたのだった。なお,ペルセフォネが冥府で過ごしている4ヶ月の間はデメテルが哀しみのあまり穴に隠れてしまうため,作物が実らない冬が訪れるのだという。
おとめ座の乙女が誰であるかに定説はなく,デメテル,ペルセフォネ,正義の女神アストレアなどの名前が候補としてあがっているが,“麦の穂”を持つ乙女の姿は農業の神デメテルの姿であるという説が有力である。もともと古代の星図では麦の穂だけが書かれていたが,ギリシア神話のデメテル又はペルセフォネが祭り上げられた後,麦を携える乙女の姿として表されるようになったのではないかという。
乙女の手に輝く1等星スピカは,その名も“麦の穂”という意味である。
1801年1月1日に発見された最初の小惑星に,ローマ神話でデメテルに相当するケレス(Ceres)の名が付けられている。
なお,2001年6月には,ケレス発見200年を記念して,発見されたパレルモにて小惑星研究会が催される予定だ。
ペルセフォネ(単に娘と言われる場合もある)と共にギリシア全土で崇拝されていたが,特に縁の深いエレウシスが崇拝の中心地であった。秋になると,実りを祈るテスモフォリア祭が女達の手で執り行われ,入信者には来世での幸福が約束された。
ローマ神話でデメテルに相当するケレス(Ceres)は,古くからデメテルと同一視されていたが,ローマ固有の神話もなく由来は不明。
ローマで大飢饉が起こった時にケレスに神殿が奉献されたが,ローマでは主に平民が穀物の取引を行っていたために,この神殿は後々平民たちの活動拠点となっていった。