アンドロメダ座 (And, Andromeda)

最終更新 : 2005-04-12

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アンドルメダ座の星図
(StallaNavigator AstroArts ASCII)

 和名 :

  とかきぼし(斗掻き星),
  ますかきほし(桝掻き星)

 ペガススの四辺形を桝に見立て,それに対してアンドロメダ座のαδβγの4星による列を,こう呼んだ。


主な星

アラビア語の英語表記: アルファベット下のドットは"."で,母音の長音符は直後に"_"を付記し,代用
星名一般名意味派生和名光度スペクトル距離絶対等級
αアルフェラッツ
シラー
Alpheratz
Sirrah
女の頭
馬のへそ
アラビア語

斗掻き星

桝掻き星

2.07 (Var)B8IVpMnHg **120-0.7
βミラクMirachアラビア語2.06MOIIIa ***75+0.2
γ1/2アルマク
アラマク
Almach
Alamak
大地の子
アラビア語
アラビア語
2.1/5.08K3IIb ***260-2.4(合成)
δデルタDelta三角ギリシア語3.25gK3/AO ***120-0.2
ξアディルAdhil衣服の裾アラビア語
4.87K0 *

光度: Yale Catalogue of Bright Stars, (3nd edition)
スペクトル: 
 * Yale Catalogue of Bright Stars, (3nd edition)
 ** Yale Catalogue of Bright Stars (4th edition, Hoffleit,D.and Jaschek,C.1982, Yale University Observatory)
 *** A List of MK Standard Stars (Garcia,B.1989, Bull.Inform.CDS,No.36)
距離および絶対等級: 『星座ガイドブック』誠文堂新光社,『星百科大事典 改定版』地人書館より抜粋。データが古いため参考までに。

【コメント】
 α星のアルフェラッツ(Alpheratz, Alpherat)及びシラー(SirrahS)は,両方とも“馬のへそ”を意味するアラビア語,アル・スラト・アル・ファラス(Al Surrat al Faras)が短くなった名前で,元来この星がペガスス座と共通で,ペガススのヘソに位置していたことが由来。
 アラビアでは,かつて“鎖につながれた女の頭”という意味のアル・ラス・アル・マラー・アル・ムサルサラー(Al Ra_s al Mar'ah al Musalsalah)という名が用いられていたことがあったが,現在この名は使われていない。
 なお,表では光度を YCBSデータから 2.07等と記載しているが,この星は変光星で,GCVS (General Catalogue of Variable Stars) では 2.02-2.06等(ACV型)と記されている。

 β星ミラクは,“腰”を意味するアラビア語アル・マラク(al Mara_k.k.)が語源で,アンドロメダ姫の腰に位置することが由来。ミラクという星名は,うしかい座ε,おおぐま座βなど幾つか知られているが,各々,その星座の腰に光っている。
 古代アラビアでは,アラビア星宿(下記星図):アル・フート(二匹の魚)にちなんで,この星をバトン・アル・フート(魚の腹)またはアル・カルブ・アル・フート(魚の心臓)と呼んでいた。

アンドロメダ座付近の古代アラビアの星座
古代アラビアの星座の星図
アンドロメダ座・カシオペア座・ペルセウス座 → 牝ラクダ
ペルセウス座・アンドロメダ座・うお座 → 二匹の魚
アンドロメダ座・ペガスス座・はくちょう座 → 完全な馬
ペガスス四辺形 → 桶

 γ星は,資料によってアルマクとかアラマクとか書かれているが,アルマク(Almach, Almac, Almak)は,“大地の子”を意味するアラビア語,アル・アナク・アル・アルド(Al' Ana_k. al' Ard)が訛ったもので,『アルマゲスト』(1515)や『アルフォンスス星表』』(1521)に見られる古い名前。直訳では大地の子となるが,ライオンの傍にいて獲物を教えるアナグマに似た小さな肉食動物を指し,アラビアの非常に古い天文学に由来する。
 アラマクは,アンドロメダの左足の星であるところから“編み上げブーツ”を意味するアラビア語アル・マーク(Al Mauk)を与えたもの。

 δ星のデルタは19世紀のアメリカの天文家バリットによる命名で,バイエル名δ(デルタ)が固有名化したもの,又はδεαで作る三角形が由来などと言われているが,現在ほとんど用いられていない。

 ξ星アディルは“衣服の裾”を意味するアラビア語,アル・ダイル(Al Dhail)が由来で,『アルマゲスト』(1515)で最初に登場し,『アルフォンスス星表』(1521)にも記されている。しかし,もっとドレスの裾に近いA星やb星に与えられるべき名であるという見解もある。


 

その他の名前

中国

騰蛇(とうだ) アンドロメダ座〜カシオペア座・ケフェウス座の22星。

奎宿(けいしゅく) アンドロメダ座〜うお座の16星。二十八宿の15番目で,細長い六角形を上から見たイノシシ,またはサンダルに見立てている。サンダルが空高く昇ると,靴を履く寒い季節が訪れる。
 アラビア星宿の魚に相当する。

軍南門(ぐんなんもん) アンドロメダ座φξωχで陣営の南門のこと。

天大将軍(てんだいしょうぐん) アンドロメダ座γ〜さんかく座で,天の偉大な将軍のこと。

天厩(てんきゅう) アンドロメダ座δθρσで,天の馬小屋のこと。

奎宿の星図
(StallaNavigator AstroArts ASCII)

中世ヨーロッパ

 アビガイル 旧約聖書サムエル記に登場するダビデ王の第二の妻で,聡明かつ美しい女性。中世ヨーロッパはキリスト教中心の時代で,星座も聖書の登場人物に結びつけていた。

 


 

変光星

GCVS (General Catalogue of Variable Stars) より
変光星名変光星型光度範囲周期スペクトル備考
RM5.8-14.9409.33S3.5E-S8.8E(M7E)1858年ドイツで発見
変光範囲が例外的に大きい
TM7.7-14.5280.76M4E-M7.5F非常に赤い星
WM6.7-14.6395.93S6.1E-S9.2E/M4-M10
ZZAnd8.0-12.4(p)なしM2III+B1EQZAnd型の名前の由来の星
特異な変光で注目される
RXUGZ10.3-14.9-PEC(UG)1905年イギリスで発見
VXSRa7.8-9.3369C4.5(N7)極端な赤色星

【変光星型】 SR:半規則的変光星, M:ミラ型, ZAnd:アンドロメダ座Z(Z And)型, UGZ:きりん座Z(Z Cam)型
【光度範囲】 (p):写真等級


★ 神話については,星の停車場アンドロメダ座 又は 星空入門秋の星座を探してみよう をご覧下さい。
★ アンドロメダ座の探し方については,星空入門秋の星座を探してみよう をご覧下さい。




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