★参考文献
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地下鉄マーブル・アーチ駅が私たちのホテルの最寄り駅で,ホテルはマーブル・アーチのすぐ北にあった。このため,着いたその日から,いや,ホテルを決めて地図で確認した瞬間から,マーブル・アーチは今回の旅行の素敵な目印だった。
せっかくだから,マーブル・アーチをきちんと見ておこう。
観光2日目の朝,地下鉄に乗って出かける前に,私たちはマーブル・アーチへ寄ってみることにした。
※マーブル・アーチ,ハイド・パーク周辺
3. マーブルアーチ 〜 モントカーム (Great Cumberland Place)
6.地下鉄セントラル線マーブルアーチ駅
マーブル・アーチはその名のとおり大理石でできたアーチ形の凱旋門で,ハイド・パークの東側を南北に通るパーク・レーン(Park lane)の北端,つまり,ハイド・パークの北東角に位置している。
リージェンツ・パークやバッキンガム宮殿などの設計を行った建築家ジョン・ナッシュ(1752-1835)が,バッキンガム宮殿の正門としてデザインしたものである。
この門が作られた年や移動した年は本によってまちまちで正確にわからないが,地下鉄出口に立つ説明板には,1828年に設計され1851年にこの地へ移動。パーク・レーンの端のカンバーランド・ゲートで,ハイド・パークの新たなエントランスになった,と記されている。
1837年7月13日,即位したばかりのヴィクトリア女王は,王旗が翻るこの門をくぐってバッキンガム宮殿へ入城したが,おそらくこれがこの門の一番輝かしかった時代だったのだろう。やがてマーブル・アーチは,バッキンガム宮殿の増築工事に伴い適切な居場所を失ったのだった。
※写真をクリックすると解像度の高い写真の全体像が見られます。一部のサムネイルは切り取ってあります。
Marble Arch Panasonic LUMIX DMC-FX33
Nikon D200 Fujifilm FinePix S2 Pro | ||
マーブルアーチの横,パークレーンの北端は,2階建ての赤いバスで巡るロンドン観光の受付・出発の地になっているが,マーブル・アーチ自体を訪れる観光客はほとんどいないのか,マーブル・アーチ前の広場は閑散としており鳩のたまり場になっていた。折りしも五月で花壇の花は美しいが,ベンチに座る人影もなく,ちらほらと散歩をする地元の人を見掛けたくらいである。
1196年〜1783年に処刑場だったここには恐ろしく生々しい逸話も残っているが,今は昔のそんな時代を彷彿とさせるものは何一つ無い。ただ穏やかな空気が流れていた。
地下鉄出口の前に立っている説明板には,マーブルアーチの歴史と共に,管理事務所からの注意が箇条書きになっていて,ボールで遊ぶな(一番近い遊び場はハイドパーク),鳩に餌をやるな(健康を害する),犬はつなぐこと(スコップで糞の処理をするように),自転車はダメ(このエリアは通り抜け禁止),ラジオやラジカセ禁止(うるさくて迷惑),飲酒禁止,などと書かれていた。
ハイド・パークの北東の一角で,マーブル・アーチを取り囲むように走る道が,カンバーランド・ゲートである。パーク・レーンの北端から出発した赤いロンドン・バスは,ここを1周してオックスフォード・ストリート方面へ出て行くことになっているらしく,ここに立ってみていると,次々と赤いバスがやってくる。
観光客を乗せた2階建てバス,2輌編成の路線バス,バスの種類もデザインも様々で,見ていて飽きない。
最終日に私たちが利用したバスツアーはヴィクトリア駅の出発だったが,やはりここへ来てカンバーランド・ゲートを半周してくれたので嬉しかった。
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Camberland Gate Panasonic LUMIX DMC-FX33
Nikon D200 Fujifilm FinePix S2 Pro | ||
このカンバーランド・ゲートを挟んで道の向こう側にあるのが,数あるロンドンの公園の中でも最大の規模を誇るハイド・パークである。
もともとウエストミンスター寺院の領地だったハイド・パークは,狩り好きだったヘンリー8世(在位1509-1547)によって1536年に召し上げられ,王室の狩猟場として使われてきた場所である。狩猟場だっただけに面積は大変広く,隣接するケンジントン・ガーデンズと合わせて90万坪あるという。
そんな広大な公園を見て回る時間はとても取れないが,せめてちょっと眺めるだけでもと思い,マーブル・アーチを後にした私たちは,地下へ下り,地下鉄マーブル・アーチ駅4番出口へ移動した。
4番出口を上ったところが,ハイド・パークの入り口,スピーカーズ・コーナーの前である。ここは観光バスの発着場所にもなっていて,出口から地上へ上った瞬間に,待ち構えていた受付の男性に「ツアーに参加するのか?」と尋ねられた。もし赤い2階建てバスでロンドン観光をしてみたければ,地下鉄マーブル・アーチ駅の4番出口を上りさえすればきっと何とかなるだろう。
4番出口のすぐ横にある門から公園へ入ると,まず,何も無い広場がある。
「スピーカーズ・コーナー」と呼ばれる一画で,日曜日の午後になると素人弁士たちがここを訪れスピーチが始まる。誰が何を話してもよいらしく,予約が必要なわけでもなく,観光客であろうと誰であろうとスピーチを始めれば,集まった聴衆が聞いてくれるし,時には論争になったりもするらしい。
できれば現場を見てみたかったが,日曜日,私たちはバスツアーでロンドンを離れる。ここがスピーカーズ・コーナーね,と確認し,ハイド・パークの中へ少しだけ足を踏み入れた。
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Hyde Park Panasonic LUMIX DMC-FX33
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ハイド・パークへ入ると,まず公園の周囲をぐるりとまわる道路がある。その道路を渡るとひたすら芝生が続き,周辺に木がちょこちょこ生えている。道の果てに,ハイド・パークの南端あたりにあるハイド・パーク・バラックスのビルが見えているが,あのビルの辺りまで公園なのだと理解すれば,ハイド・パークが如何に広いかが分かろうというものだ。
ちなみにこのビルは,Basil Spence's Tower と呼ばれる建物らしい。
風が吹くと何か花のようなものが周囲の木から降ってくるのが気になった。日本でこんな風景は見たことがない。後日コッツウォルズのツアーに参加した時の添乗員さんの話によると,マロニエの花だということだった。
芝生が広がる風景だけ眺めると,私たちはスピーカーズ・コーナーへ戻り,4番出口から地下鉄セントラル線マーブル・アーチ駅へと向かった。本日メインの観光予定はキュー・ガーデンズである。
外部リンク
・The Big Bus Company (赤バスでのロンドン観光ツアー)
・Marble Arch - London - UK Attraction (マーブルアーチ観光案内)
・Hyde Park (ハイド・パークの公式サイト)
・Hyde Park, London - Wikipedia, the free encyclopedia
・Hyde Park Barracks, London - Wikipedia, the free encyclopedia
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