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ちょうこくぐ座 は,真冬の宵の頃,うさぎ座 のずっと南の低い位置に見られる小さな星座です。18世紀のフランスの天文学者ラカイユが星座のない領域を埋めるために作った星座ですので,暗い星ばかりで,星の並びも目立ちません。
描かれている彫刻具とは,金属や石を彫る時に用いる硬化鋼でできたノミかタガネのような道具で,ラカイユの星図では2本交叉するように置かれてリボンで結ばれています。ちょうこくぐ座 の更に南にあるがか座 や秋の南天低く見えるちょうこくしつ座 と同じように,ラカイユが祖国フランスに花咲いた芸術文化を記念したものであろうと言われています。
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ちょうこくぐ座 は,東京付近の南中時高度が10〜20度。α星が4.4等(エール輝星カタログ3版より)で残りは5等星なので,南が開けた暗い空の下へ行かなければ見られません。探すときは,まず周辺の星座の明るい星をしっかり把握して,それらを頼りにたどってみましょう。
このあたりで目立つ明るい星といえば,まずオリオン座 のリゲルとおおいぬ座 のシリウス。リゲルの南のうさぎ座 αβは3等星で地平線高度も高いので簡単に見つけられます。
また,南天低く,南中したちょうこくぐ座 γと同じくらいの地平線高度で目立つのは,δεηという3個の2等星が作るおおいぬ座 の尻尾の三角形。この三角形の西にあるはと座 のαβは3等星,ちょうこくぐ座の西隣に並ぶエリダヌス座 υ3とυ4は4等星です。仲良く並んだはと座 αβ及びエリダヌス座 υ3υ4は,きっとよい目印になるでしょう。
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ちょうこくぐ座 には,結びつけられたギリシア神話も固有名のついた星もありません。