※転載・複製は,一切お断り致します。 |
|
さそり座 は,全天88星座の中でも,もっとも均整のとれた見つけやすい星座の一つで,夏の代表的な星座です。夏の宵,南の空で二つのお供の星を従えて輝く1等星アンタレスは,星座を初めてたどってみる人の目にも,すぐにわかると思います。
赤いアンタレスは,サソリの心臓。アンタレスを中心に,さそり座 は大きなS字カーブを描きます。
まず,アンタレスのすぐ西側に,サソリの爪にあたる明るい3つの星が縦に並んでいるのが目につくことと思います。
そして尾の先は,見事にくるりと曲がっています。尾の先端の毒針の部分には2等星と3等星が仲良く並び,“ネコの目”とか“カニの目”などと呼ばれています。
もし空が暗ければ,このあたりを天の川が流れているのも見えるでしょう。
さそり座 の東にはいて座 の南斗六星,その南には可愛らしいみなみのかんむり座 が輝いていて,周辺も見所がいっぱいです。
***
さそり座 には各国で様々な伝説が知られますが,夏の代表星座さそり座 と冬の代表星座オリオン座 について語る有名なギリシア神話を一つご紹介しましょう。
自分のことを「世界一強い」と豪語していた狩人オリオンは,その傲慢さから女神ヘラまたはガイアの怒りをかい,彼女が放ったサソリに刺し殺されてしまいます。
サソリはオリオンを刺した功績を称えられて黄道の星座の一つとして空へ上げられ,オリオンも,やがて彼を慕った女神アルテミスの願いによって星座になったのですが,星座になってもオリオンはサソリを恐れ,サソリがいない冬の空に登場し,サソリが東の空からのぼる頃には,そそくさと地平線の下へ隠れてしまうのだということです。
さそり座 の星の名前については星のるつぼをご覧下さい。