皇室典範の見直し

 「女性宮家設立も視野に入れた」というフレーズには聞き飽きた。
 単刀直入に言う。私は現時点での女性宮家設立には100%反対だ。受け入れる余地はない。そんな付け焼き刃のようなくだらない制度を導入して、世界で最も古い伝統を誇る天皇家の歴史をねじ曲げるのは止めて頂きたい。男女平等とかそういう薄っぺらな問題ではないのだ。こんなにも長く守り抜かれた伝統、ほとんど日本そのものであるとも言って良い天皇家の歴史、それは守るべきものであり、各時代の一時的価値観に基づいて簡単に変えたりしてはならない。

 私は子供の頃からキリスト教の世界に身を置いてきた。そこでは宗教の自由という観点から天皇制を問題視する意見が根強く、2月11日には天皇制に反対する集会などが開かれていて、私は自然と反天皇の思想を身につけて育った。しかし、大人になって色眼鏡を取り去って天皇という存在を確認したとき、その存在感に圧倒され、天皇が日本に存在するということは、宗教の自由などとは別格であることに気がついた。
 その存在感、その風格、その安心感、その威厳、全ては生まれたときから私人としての一切を捨て去って日本のために古来から受け継がれた流れの中に身を置いて伝統を守り生きてきた天皇家だからこそのもの。それを感じ取ったとき、日本人として天皇家に、皇室に、敬意を表さずにはいられないと、自然に想いが湧き上がってきた。

 GHQの占領下にあった1947年(昭和22年)、11宮家51名が皇族を離脱させられた。天皇制の弱体化を狙ったGHQの計画だったわけだが、60年以上の月日が流れ、計画が見事に実ったのがこの状況なのだ。
 天皇家の血筋が途絶えることを心配するなら、伝統に逆らった女性宮家設立ではなく、まずは占領下で外国の圧力によって離脱させられたこれら正当なる男系の宮家を復活させることが先決だろう。何故この話が出ないのか非常に不思議だ。女性宮家設立を考えるのはそれをやっても問題が解決しなかったときだと思う。いつまで忠実にGHQの策略に従っているつもりなのだ!

 無粋かもしれないが、神武天皇から受け継がれたY染色体を持つひとが天皇であるということに、私は言いしれぬ浪漫を感じる。