甘い甘い幻の中で

     彼女は立っていた
     海風に吹かれた夏の宵

     リネンのスカート軽やかに
     黒い髪は宵闇に溶け

     伸ばされた手に
     僕は僕は躊躇した

     夢も幻も去った闇の中
     残香に浸りて僕は生きる

甘い甘い幻の中で

色褪せた夕焼けも色褪せた君も見たくない。