いとしき忘却を見送って

 浅く短い眠りから昨日と寸分違わぬ日常へ立ち戻る
 過ぎ去った長い時間もすり減ったささやかな希望も
 烏の鳴き声や風に揺れる木の葉と違わぬ刹那の幻影

 わたしは呆然と空を見上げる
 わたしは意味もわからず悲しくて
 わたしは全ての希望を投げ捨てる

 生きていてもよいのでしょうか
 何故生きているのでしょうか
 生きている意味はあるのでしょうか

 ひととき切ない夢を見て寸分違わぬ日常へ立ち戻る
 風も雲も光も闇も皆等しくわたしを置き去りにした

 それでいい
 たぶんそれでいい

いとしき忘却を見送って

忘れて下さい。みんなみんなわたしのことなど。