哀しい金魚の想い出

金魚と朝顔の夏

もう20年も前の夏のこと。
京都祇園祭の宵山の午後だった。

四条通から室町通りを少し上ったあたりだっただろうか。
電柱から出た杭に、2匹の金魚が釣り下げられていた。

金魚すくいで採った金魚を
連れて帰らずそこに捨てたのだろう。

午後の太陽が照りつけ、
おそらくビニール袋の中の水温は上昇の一途。

自分たちの運命を知っているのか知らないのか
2匹の金魚は袋の中をぷくぷくと静かに泳いでいる。

私は悲しくて悲しくて涙を抑えるのがやっと。
心臓が止まるほど胸がキリキリ傷んだ。

この子達を連れて帰りたい。連れて帰りたい。
あぁたぶん見捨てて帰ったら一生後悔する。

だが金魚を飼える環境を私は持っていなかった。
それを作ることもできない環境だった。

だから私は今もあの子達を思って苦しんでいる。
2匹の金魚の姿が脳裏から離れない。

飼えないなら、どうか金魚すくいをしないで。
お願いだからそんな捨て方をしないで。