沢山の場所に住んだから
色々な花火を見てきたなと思う。
で、いつ見た花火が一番心に残っているかと考えると、
毎年一人で見ていた地元の花火だ。
実家から歩いて行ける距離の、
地下水が湧き出る川縁。
そこが幼い頃から私が地元を出るまで、
毎年の花火大会会場だった。
幼かった頃は、親や祖母に連れられて。
中学生から高校生の頃は、一人で。
大学生になって地元を離れても、
花火大会の日付に合わせて帰省し一人で見た。
今時のアニメのように、浴衣を着てとか、
好きな人や友人と一緒になんて一度もなかった。
いつも一人。
心地よい破裂音を聞きながら無心に見るのが好きだった。
そして花火が終わって、
その年の流行歌が流れる会場を一人で去るのが好きだった。
それは私の中の儀式だったのかもしれない。
花火から去りながら未来の自分へ向かって歩いていた。
そんな気がする。
一人で歩く必要があったのだ。