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ギリシア神話に登場する火と鍛冶の神で,オリュンポス12神の一人。
ローマ神話のウルカヌス (Vulcanus)に相当する。英語ではバルカン(Vulcan)。
ホメロスによると,大神ゼウスとその正妃ヘラの子。
ヘシオドス『神統記』によると,一人で女神アテナをもうけたゼウスに対抗し,ヘラが一人で生んだ子。
ゼウスから,美と愛の女神アフロディテを妻に与えられる。
しかし,アフロディーテが軍神アレスと通じていたことを知り,見えない網を作って密会している両神の現場をとり押さえた。
ヘファイストスは足が悪かったが,生まれつきであったという説と,ゼウスとヘラの夫婦喧嘩の際,彼がヘラの味方をしたため怒ったゼウスに足をつかんで放り投げられたためだという説がある。
オリュンポスでは,鍛冶の神として,神々のために青銅の宮殿を建てたり,英雄アキレウスの武具,アガメムノンの王笏(しやく),テーバイ王カドモスの妃ハルモニアの首飾などの品々を作ることに精を出した。
また,人類最初の女性パンドラ(Pandora)を作った話も有名である。パンドラは,プロメテウス(Prometheus)が火を盗んだことの罰として,絶対に開いてはならない小箱と共にゼウスによって人間に授けられたが,箱の中身を見たいという誘惑に負けて箱を開け,人類に災いをもたらした。箱からは恐怖や怒りや憎しみなどが次々と世に解き放たれていき,最後に希望が弱々しく出ていったという。
火山の多い小アジアに起こった火の神が,エーゲ海経由でギリシアへ伝わり,火と火を使う職人達の守護神としての性格を持った。
主に,リムノス島,リパリ諸島(シチリア島の北)などの火山島と,工業の発達したアテナイで崇拝された。アテナイには紀元前5世紀頃に建造されたヘファイストスのドリス式神殿ヘファイステイオン(Hephaisteion)が残っている。美術品の中では,小さな丸帽子をかぶって道具を持ったヒゲの男として表現されることが多い。