静寂に音を感じた時のこと

 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とか「失って初めてその価値が分かる」とか,物事の重要性を認識することについての慣用句や諺がいくつかある。「灯台もと暗し」とか「井戸を枯らして水のありがたさを知る」もその一例だろう。

 人は忘れるし,人は気がつかない。
 人は突然気がつき,また忘れる。

 ベリーを失ってからそれを考えない日は一日たりともない。ベリーを思い出さない日などもちろん皆無だし,今でもほぼ一日中ベリーのことを考えている。ベッドの中で,讃美歌を歌ってベリーを見送った時のことを鮮明に思い出してとても眠れなくなることもある。
 こんなにもベリーのことを考え続けているのに,ただ,ベリー本人に会えないってことだけが変わった。
 そしてきっと思い出せることも減っている。

(2021-12-26 10:34)
(2021-12-26 10:34)

 ベリーと過ごした最後のクリスマスは2021年だから,ベリーがいないクリスマスは今年が3回目だ。
 最後の2年くらいは,「今年で最後になるかもしれないから」「最後にならないでね」って両方の気持ちを抱えてクリスマスにベリーにサンタ帽を被せて怒られていた。ベリーに怒られるのが幸せだった。ベリーはすっごく嫌がっていたけれど,かまわれているという点ではまんざらでもなかった筈だと思う。

 ベリーと過ごした2021年12月。
 これがベリーがいる日常だった。

(2021-12-08 10:31)
(2021-12-08 10:31)
(2021-12-08 08:02)
(2021-12-08 08:02)
(2021-12-09 13:10)
(2021-12-09 13:10)
(2021-12-09 13:10)
(2021-12-09 13:10)
(2021-12-12 09:15)
(2021-12-12 09:15)

 このピンクの布を背中に乗せてベリーはよく歌を歌った。
 この茶色の紐で,ベリーと綱引きをして遊んだ。
 両方とも旅立つベリーに持たせてあげた。

(2021-12-13 09:16)
(2021-12-13 09:16)

 よく思う。
 ベリーがどんな風に生きていたかを一番理解したのはいなくなった直後だったのかもしれないと。ベリーが立てていたあらゆる音,ベリーが音を立てていた状況が,日常生活の一つ一つの場面で手に取るように脳内に溢れ出て思い出された。
 その音がその状況で存在することが普通過ぎて,注意を払っていなかったのだ。
 無くなって初めてベリーが立てる音がどれほど静寂から私を救っていてくれたかがわかったのだった。

 2年半が過ぎて,静寂にもかなり慣れてきた。
 ベリーの音は,どうあがいてももう聞けないのだから慣れるしかない。
 だが思い出しながらこんなことを書いていると涙がボロボロ流れてどうしようもないのだ。
 ベリーは幸せだったかなぁ。幸せだったと思ってくれていたら嬉しいなぁ。あぁ本当に会いたい,会いたい。

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20. デジイチ時代がやってきた (2)

 2003年生まれのベリーのお迎え当初の撮影は,主に Nikon COOLPIX800 だった。
 ベリーお迎えから2ヶ月半後の2004年1月末,初めてのデジタル一眼レフカメラ Fujifilm FinePix S2 Pro を手に入れ,ベリーを撮りまくった。

 やっとベリーの綺麗な写真が撮れるようになった嬉しさよ!

  • 2004年01月31日(土) 朝82g お迎えから92日目
(2004-01-31 21:02:44, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:02:44, Fujifilm FinePix S2 Pro)

 小松菜を食べてくれるのは嬉しいが,土を食べようとするのでパインチップで土を隠したが,今度はパインチップをかじって遊ぼうとする。
 黴が生えていたらいけないし,それも止めてくださいベリーさん。鉢植えから直接野菜を食べさせるのは諦めた方が良いのだろうか?

(2004-01-31 21:02:53, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:02:53, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:03:16, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:03:16, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:03:35, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:03:35, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:03:36, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:03:36, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:03:52, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:03:52, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:04:00, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:04:00, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:04:14, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-31 21:04:14, Fujifilm FinePix S2 Pro)

 とにかく小松菜にご執心で植木鉢からなかなか離れようとしないベリーなのだった。

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19. デジイチ時代がやってきた

 2003年生まれのベリーは,特に最初の頃はデジタルカメラに恵まれていなかった。
 お迎え当時に使っていたデジカメは主に Nikon COOLPIX800 で,これはかなり長い間愛用した大変良いカメラだったが,光量が足りない室内でよく動き回るオカメインコの雛を撮影するには辛かった。

 私の元へ初めてのデジイチがやってきたのは,ベリーをお迎えして2ヶ月半が過ぎた2004年1月末のこと。私が所持していた400mmレンズと友人の Fujifilm FinePix S2 Pro をトレードすることになったのだった。

 当然最初の被写体はベリーである。

(2004-01-30 21:50:33, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-30 21:50:33, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-30 21:57:51, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-30 21:57:51, Fujifilm FinePix S2 Pro)

 当時のデジイチはまだ夜明けの時代。
 今から考えると色々信じられない不便や制約があったが,それでも背景がボケてくれたり羽毛の柔らかさな質感が表現できたりと画期的だった。

(2004-01-30 22:06:26, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-30 22:06:26, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-30 22:09:27, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-30 22:09:27, Fujifilm FinePix S2 Pro)

 幸いにして?ベリーはやんちゃ盛り。
 そして生まれながらにして好奇心旺盛なベリーは,初めて見る大きくて黒いカメラに動じることもなかった。

 ベリーが囓っているこの籠は,ボロボロになってしまったけれど思い出がたっぷりすぎて今も捨てられずにいる。

(2004-01-30 22:12:33, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-30 22:12:33, Fujifilm FinePix S2 Pro)

 この頃はスミレ色のソニーのVAIOを使っていたのだった。
 ベリーはそんな時代の子だったのだ。

(2004-01-30 22:12:54, Fujifilm FinePix S2 Pro)
(2004-01-30 22:12:54, Fujifilm FinePix S2 Pro)
  • 2004年01月26日(月) 朝83g お迎えから87日目
  • 2004年01月27日(火) 朝82g お迎えから88日目
  • 2004年01月28日(水) 朝83g お迎えから89日目
  • 2004年01月29日(木) 朝84g お迎えから90日目
  • 2004年01月30日(金) 朝84g お迎えから91日目
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