ベリーは音楽が好きだった。
音楽好きなオカメインコにしようと思って,ベリーをお迎えした直後からよく音楽を聞かせていたが,彼が音楽好きだったのはそのせいなのか天性なのかわからない。
彼は音楽なら何でも好きだった。
アニソンやポップ,クラシックはもちろんのこと,演歌や民謡,浪曲でさえもOKで,ラジオで音楽を聞いていて,民謡の時間が始まって民謡を理解できない私がラジオを消したりすると,ベリーはいつも悲しそうな声を出した。
仕方なく私が再びラジオをつけると,ベリーは満足そうに音に合わせて小さく声を出していた。
音楽なら何でも来いのべりーだったが,やはり特別好きな曲というものはあった。その最たるものが《フニクリ・フニクラ》だ。
きっかけは,たまたまついていたテレビから流れたNHKの名曲アルバム。この曲が始まった瞬間,ベリーは今までやっていたことを全て忘れたかの如く跳ね上がり,感極まったようにピーピーと一緒に歌い出したのだ。
流石に驚いたが,再び《フニクリ・フニクラ》を聞かせると同じ反応。次第にハーモニーを覚えて一緒にハモり始める始末。結局その後,ベリーの為にルチアーノ・パバロッティの『イタリア民謡集』のCDを買ってあげた。ベリーはこのアルバムの大半の曲が大好きだったので,ベリーがぐずってうるさい時は,イタリア民謡集を聞かせて黙らせる(あるいは歌わせる)のが常套手段になったのだった。
ベリーが特に好きなのはノリが良い曲だった。アニソンが好きだったし,デンパソングが好きだった。好きな声というものあるようだった。声優の小倉唯さん,竹達彩奈さんの曲は別格で彼女達のアルバムは《フニクリ・フニクラ》の次くらいにお気に入りだった。ベリーの為に小倉唯さんのライブBlu-rayなど購入してベリーに見せていたものだった。ベリーは楽しそうに見てくれて,その間は「おやつをよこせー!」とうるさく絶叫しまくったりしないので助かった。
要求を通すためにうるさく叫ぶベリーを黙らせるには音楽が一番!
ベリーを黙らせるために作られたプレイリストが「Berry_piyopiyo」だった。
Apple Musicでベリーが気に入った曲を片っ端から放り込んでいったプレイリストだ。このプレイリストは本当に効果抜群で,これを聞かせればベリーはご機嫌。
若い頃のベリーは一緒にノリノリで歌っていたし,晩年のベリーは気持ち良さげに嘴をギシギシ言わせながらたまに音楽に合わせてピヨピヨと声を出してた。
そんなプレイリスト。
ベリーがいなくなってから一度も聞いていなかった。辛いのではないかと思って聞く勇気がなかったのだった。イタリア民謡集もパバロッティのテノールも聞けなかった。
でも,そろそろ聞いてみようかなと思って,自宅サーバーにプレイリストを移植した。
ベリーが好む曲ばかりなので,プレイリストはあらゆる分野に渡る変な選曲だ。けれど,そんなプレイリストの存在こそがベリーが生きた証なのだ。
ベリーぴよぴよを聞こう。
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