十月の雨

    冷たい雨に芯から冷えて
    彼女を想う

    きっとこんなに冷たくて
    きっとこんなに寒かった
    もう届かない遠い日々

    やるせなくて哀しくて
    金木犀の枝を弾いた

露ぬれた金木犀

あの日の空から帰ってきたかの如く、金木犀は優しい香りで包んでくれた。