ベリーがいなくなってからずっと辛くて出せなかったキーボード。
1年9カ月ぶりに出してみた。
このキーボードはソファーの下に仕舞われていて,ソファーの下からこれを引き出すとベリーはいつもちょっと怖がって止まり木の上を走り回っていた。大きな物がにゅっと出てくるのが怖かったのだと思う。
でも弾き始めると喜んで音楽に合わせてピヨピヨ言っていた。
特に好きだったのは《猫踏んじゃった》。
これを弾き始めると,ベリーは音楽に合わせて「ピッピッピッピッ」と歌い出し,どんどんペースを上げて速く弾いていくと,楽しそうに曲に合わせ「ピピピピピッ!」と早口で歌い合わせていた。
弾き終わるとベリーも歌い終わり,嬉しそうにこちらを見て片足を上げ,にぎっと指を結ぶ動作をする。
たまらなく愛おしい時間だった。
その思い出があまりにも強烈だったので,キーボードを見ることすら辛く,ずっとソファーの下で眠らせたままだったのだった。
しかし,これではキーボードさんがあまりに不憫だ。
何とか使ってあげたいと思ってようやく引っ張り出してみたが,やっぱ見ると辛くて,本当にめちゃ辛くて涙が出てきてどうしようもない。今もこれを書きながらどうしようもなく苦しい。涙が流れるだけ,ベリーを失った直後よりマシになったのだと思うけれど。あの時は涙の流し方すらわからなかった。
ベリーの存在が大きすぎたから。
ベリーとの楽しかった時間を思い出しながら穏やかな気持ちで弾ける日は来るのだろうか。
でも,何とかこのキーボード使ってあげたい。
ベリーを見送るために歌った讃美歌だけは,バイオリンで弾くことができている。
讃美歌を弾いてみると良いのかもしれない…。
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