ベリーは作業好きオカメだった。
他人が作業をしていると近くに見に来る。うちにやってきた当日からそうだった。
初めて来た家だというのに全く物怖じせずに,まだ挿し餌の雛のくせに,飛ぶこともままならないくせに,一生懸命近くへやってきて,熱心に作業を眺めていた。
人が何かやっていると—例えばパソコンのメンテとか,プラモ作りとか手芸とか諸々—ベリーは徐にケージから出て,そばへやってきて時に道具を咥えて持ち出したりして邪魔しながら眺め,人が席を外すとこれ幸いと作業中の物を点検していた。
そうやって見に来ることもあったが,人が何かごそごそと作業をしていると,ベリーも負けじとごそごそ作業を始めることもあった。ケージの底の新聞紙を破ったり,部屋の中の木箱を囓ったり,小松菜を切り刻んだり。
ごそごそしているときは目が合うだけで「フッ!」と怒られたものだ。
ベリーに怒られるのも楽しかった。
ベリーも怒られて楽しそうだったから,お互い様だったわけだ。
どんな瞬間のベリーを思い出しても,ひたすら会いたくなって辛いので思考にブレーキをかけることになる。でも思い出していたいし常に思い出しているのだ。
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