手をさしのべて抱き留める 帰ってきた言葉たち
届かなかった言葉たち
悲しかったね 仕方がないね
一緒に泣いたら出発しよう
たくさんの時 いくつもの街
幾多の涙に 数多の別れ
何もかもが過ぎ去って 変わらないのは記憶だけ
懐かしい笑顔だけ
とぼとぼ歩いた戻れぬ道を 道連れは足もと長い影法師
オレンジ色の夕闇が やさしく肩からこぼれていった
留まることはかなわない。 通り過ぎ、わたしは過去になる。
だが憶えていてほしい。 草よ木よ風よ、 わたしがここを歩いたということを。
私の尺を知るのは私だけ。 それでいい。
それがいい。