わたしは夢 (3)

  ひととき悲しい夢をみて
  人魚姫は海へと帰る

  ひととき切ない夢をみて
  わたしはどこへ帰ろうか

空よ

頑なに咲いていた

  ボイコットを叫ぶ拡声器
  ある者たちは無関心に去ってゆき
  ある者たちは熱心に変革を訴える

  取り残された君は独り座り続けた
  誰もいない講義室
  背筋を伸ばし前を見つめ怒ったように

  その横顔にわけもなく嫉妬した
  安保の残り香くすぶるキャンパスで

紅く赤く

この街角で

  たしかに貴女はここにいた

  空を見上げ花を愛で
  キーを叩きハンドルを握り
  ウィンドウを覗き買い物をし

  わたしのレンズは寂しくて
  ひたすら残照を追いかける
  貴女の貴女の貴女の

ハロウィンの街角で