迷暗

  探し続けて幾星霜
  夕陽に溶けたあの日から

  慕い続けて幾風霜
  引き裂かれたあの日から

  数多の輪廻が吾らを隔て
  記憶は未だ痛み続ける

彷徨って

オレンジの滴

  最期に見たのは夕陽でした。
  美しい、と思いました。
  光というものを見たのは初めてでした。
  そして私の意識は薄れゆき、
  身体はオレンジの光に溶けてゆきました。
  遙か遙かな昔の話。
  闇が地上から消えた日のことです。
  そう、私は闇の妖精でした。
  黄昏が落とすオレンジ色の滴には、
  今も私の上古の記憶が疼いています。

オレンジの滴

ただいま

緑の草原どこまでも
風に溶けて大地へ帰ろう

風が空が草が木が
呼んでいるの迎えてくれる

もうどこへも行かないわ
わたしはここで眠りにつくの

緑の草原どこまでも