思慕

恋しかりしは君なのか
君と過ごした日々なのか

わからないまま恋焦がれている

ジェニーの想い出

許されぬ自由

 ため息ひとつ
 夏の終わりの道端で

 セミのむくろが羨まし

 ひととき謳歌し尽き果てる
 誰にも知られず潔く

 あんな風に死ねたらと

生きていたあの日

今年の葉っぱたちへ

 夏がゆくよ秋がくる

 まだまだ暑い真っ盛り
 早まる夕陽が秋の気配を告げる頃
 教えてくれるのはいつも君たち桜の木

 半年前はあんなにみんなに愛されて
 愛でられ褒められ見つめられ
 春を告げる女神だった君たちは

 ひっそり初夏と夏を過ごしてきたね
 黙々と鳥や虫たちをいたわって
 私たちに涼しい安らぎを与えてくれた

 だけどもう散ってゆくのだね
 来春を夢見てさよならなんだね
 四季をよく知る君たちに間違いはない

 ただどうしても言っておきたいんだ
 君たちがくれた夏の木陰
 私は決して忘れない

 忘れないって

さくら