忘れましょう

 できるだけ心を乾かせて
 想いを蒸発させてしまいましょう

 忘れることは寂しいけれど
 忘れてしまえば寂しさも消える

 忘れましょう
 それが一番いいのです

夏の名残の夕暮れに

人生はさよならの海

 過ぎていった長い時間
 待っていたのは時の数だけのさようなら

 もういやだ
 もういやだ
 さよならは嫌い

 終わりがあるから美しい
 永遠なんてつらいだけ

 そうかもしれない
 だけど綺麗事にしか聞こえない
 愛するものとの別れはもうたくさん

夏の想い出

夏の朝日に恋した日

行ってきました不忍池へ

蓮を見に
昔あなたが撮った蓮を見に

花たちは覚えていたのでしょうか
若い日のあなたのことを

尋ねても尋ねても
彼らは朝日を浴びて揺れるだけ

私は心の中で泣きました

朝日の中で

無能な舌よ

よくよく覚えておくがよい。

無能なお前の努力休むに似たり。
誰にも気づかれぬなら御の字だ。

未熟なお前の善意など独りよがりなありがた迷惑。
偽善と見破られぬなら御の字だ。

これらを忘れたときだけ可能になる。
それが批判という行為だと。

摩天楼