鬼灯

 ぽっぽっぽっ
 灯ってゆくよ赤提灯

 夢の旅路に明々と
 生死の世界を繋いでく

 ねぇ照らしてよ赤提灯
 刹那の逢瀬を楽しくね

 ぱんぱんぱん
 熟して弾ける赤提灯

 後に残るは欠片だけ
 君ありし日の記憶だけ

鬼灯


 9日・10日は浅草寺のほおずき市。
 憧れの江戸の行事。
 私は箱根の東とは無縁、東京に住むことはない。
 そう思っていた。
 だから決して行くことなどないと思っていたのに、突然東京都民。
 初めて行ってきた。長年の憧れのほおずき市に。
 人生どこで何が起こるか分からない。不思議だな。

時間旅行

 梅雨の晴れ間は碧く碧く
 透けるほどに高く高く

 氷の雲は白く白く
 痛いほどに光る光る

 眩いコントラストは夏の予告
 制服の少女はかみ締めた

 かの日と同じ碧と白
 私は彼女に同化する

五月晴れ

積分

 たくさんたくさん要るのです
 想い出が

 溢れるほどの想い出が
 溺れるほどの想い出が

 そうすれば
 いつか一人になっても耐えられる

 きっと
 だから

おもいで

かぜ

 変わらない
 草木が発する初夏の香は

 時が移っても
 土地を移っても

散歩