毎月1日はベリーの日。
そして7月と11月はベリー記念日。11月1日はベリーが我が家にやってきた日,7月1日はベリーが去ってしまった日だから。
ベリーがやってきた19年前以降,初めて迎えるベリーがいない11月1日だ。
我が家に迎えるオカメインコの名前はベリー。
それは最初から決まっていた。
まずは数ヶ月ほどオカメインコの本を読んだり,ネットで飼っている方のホームページを探して読んだりして情報収集。その後,うちのベリーちゃんを探す旅に出た。
週末毎にペットショップや小鳥屋さんを巡って沢山のオカメインコを見た。成鳥も雛も。
だが選ぶ決め手がない。この中から1羽だけ連れ帰るとか無理では?
そうやってベリーを探し回って1年が過ぎようとしていた2003年10月25日。
とあるホームセンターのペット売り場だった。雛鳥が雑多に集められた水槽の中にベリーを見つけた。一目でピンときた。この子がベリーだ!
その場で店の人に話をつけ,1週間後の11月1日に引き取ることが決まった。
2003年11月1日。
お店で支払いを済ませてベリーを引き取り,自分の車の中に戻るとすぐにベリーを箱から出して,用意していたキャリングケースに移した。
このキャリングケースはダイソーで買ってきた100円の小物入れだったが,ベリーサイズで丁度良く,その後もベリーを病院へ連れて行く時にいつも使っていた。今年の7月にベリーが息を引き取ったのも,同じケースの中だった。
お迎えした日のベリー。
↓ 最初から最後まで使ったプラスティックのキャリングケース。
ケースごと洗濯ネットに入れてキャリングケースとして使用した。
ベリーを迎えた2003年11月1日。
ベリーをキャリングケースに移すと,その足で動物病院へ行って健康診断をしてもらった。
獣医師さんによると,ベリーがいたホームセンターのペット売り場は管理環境が悪く,犬や猫もトラブルが多い。ベリーも栄養状態が悪く大変痩せている。でもこれからしっかり食べて太っていけば丈夫になるだろうとのことだった。
ベリーの飼育用に,ペットショップの雛鳥売り場のような感じにパインチップを敷いた水槽を準備していたが,その獣医師さんにケージで飼った方が良いとアドバイスされた。このため,帰宅するとベリーを一旦準備した保温水槽に入れ,ケージの保温対策をすることになった。
ケージにヒーターを入れただけでは寒そうなので,段ボールでケージを覆って保温することにしたのだった。
段ボールの工作をしていると,水槽の中からその様子を見ていたベリーは,そのうちやたらと羽ばたいたり,止まり木をよじ登って水槽から出ようと模索し始めた。もの凄く頑張って水槽から出ようとしている。こちらに来たくてたまらないという感じだ。
(↓ 当時のデジカメは性能が悪い…。)
オカメインコの本に,お迎えしたばかりのオカメインコはビクビクしているので,一人静かにさせ,むやみに目を合わせて怖がらせないように,ってなことが書いてあった。なのに,目を合わせないどころか自分からこっちにやってくるよ??
仕方がないので水槽から出してやると,さっきうちに来たばかりだというのに,ベリーはケージの上にやってきて,寛いだ様子で興味深そうに段ボール工作の作業を眺めていた。まるで以前からいたかのように,自然に「うちの子」っぽいではないか。
話が違う。オカメインコは臆病で新しい環境に馴染むには時間がかかるはずでは??
ベリーを迎えることに決めて1週間だったので,まだ用品が揃っていなかった。早速体重を量って用意する餌の量など考えなければならないが,秤もない。
段ボール工作でケージの準備を整え,ベリーをケージの中に落ち着かせると,今度はベリーの体重計にする秤を買うために,再びホームセンターに向かった。
11月なので,秤などを買って家に帰ると既に暗くなっていた。
まだオカメインコと暮らすことに慣れていなかったので,部屋の照明をつけて出かけることに思い至らず,帰宅すると部屋は真っ暗。
ベリーのケージの前に「ただいま」を言いに行くと,ベリーは「フッ!フッ!フッ!」と何度も鼻を鳴らし首を振って怒りを表した。
「家族になった筈なのによくも一人で放置してくれたな!」とお怒りだったのだ。
最初,私は何を怒られているのかわからなかった。
何しろオカメインコと暮らすのは初めて。子どもの頃に十姉妹と文鳥と九官鳥を飼ったことがあったが,インコ・オウムは未経験。鳥も怒ると猫のように「フッ!」と鼻を鳴らすなんて知らなかった。それでもベリーがとても怒っていることだけはよくわかった。
夜の挿し餌の前に早速ベリーの体重を量ってみると,66gしかなかった。
これは『ザ・オカメインコ』によると,これは生後13日の体重だ! もう一人餌の訓練をし羽ばたきもしているのだから,80~90gはあってもいいはずではないか?
獣医師さんが仰った通り,ベリーが如何に痩せて栄養状態が悪い様相なのか,私達は数字を見てようやく把握した。オカメインコを見慣れていなかったので,見た目だけでは痩せていることに気づけなかったのだ。
挿し餌は本当に大変だった。どれだけ口に入ったのかわからないが,とにかくもう食べなくなるまで餌を食べさせ,就寝させた。私たちの食事はその後,もう22時を越えていた。
疲れた一日だった。私達も,そしておそらくベリーも。
翌朝,再びあの悪夢のような挿し餌をするのかと疲れ切った気分で目を覚ました。
朝8時15分,部屋のカーテンを開けると,「ピュイ!」とベリーの声が聞こえた。
覆いをはずすと,ご飯を欲しがってすごい勢いで鳴く。痩せているが元気は良い。餌の前に体重を量ると64g。
1時間半もかけて朝の餌を与え,私は朝からクタクタだった。
そして,このお迎え翌日の朝の挿し餌中に,ベリーは初飛行をした。
餌やり用のトレイから,30cmほど離れた私の肩まで飛んできたのだった。本によると,オカメインコの初飛行は生後42日頃で,初飛行する子の体重は92g。ベリーはたったの64g…!
ベリーは栄養失調で痩せていたが,飛べるくらい成長しているのだということ,ペットショップから連れてきて一晩しか経っていないのに,肩に飛んでくるほど私と家族になったことを理解しているのだということが分かった。
ペットショップでベリーを引き取るときにベリーの出身と誕生日を訊ねたが,店は全く把握していなかった。そんなことも知らずに管理できるものだろうかと疑問だった。
ベリーの誕生日は,この初飛行の日付から逆算し,私達が決めた。
3日目になると,ベリーは「ベリー」と声を掛けられる度に「ギュア!」と返事をするようになった。既に自分の名前を把握していたのだった。
また,音楽が好きな子に育てようと一日中クラシック音楽を流していたが,バッハの無伴奏チェロをかけると静かになるなど,音楽を楽しんでいる様子も観察できた。
5日目になると白湯を読めるようになり,「ベリーおいで」と呼ばれたらこちらへやって来るようになった。
ベリーは迎えたその日から,好奇心旺盛で,気が強く,賢いオカメインコだったと思う。
雛鳥の時の栄養状態の悪さは,もしかしたらその後のベリーに悪い影響があったのかもしれない。ベリーはこの1年後,2004年11月3日に重症の肺炎になり命を落としかけた。獣医師さんには助かる可能性半々くらいだと言われたが,看病の甲斐があって完治した。
その後,14歳でアスペルギルスを発症し1年ほど治療した。
ベリーは概ね元気に幸せに暮らしたが,呼吸器系はが弱かったようだ。健康診断の時,かつて鼻炎になって治った形跡があるとも言われたことがある(私は気づけなかった)。
ベリーと会えなくて凄く寂しい。とても辛い。本当に寂しい。
まだまだ思い出すとたまらない。ベリーと会いたい。
一目でいいから会えたら,ありがとうとさようならをちゃんと伝えたい。
そう思って涙が出てくる。
でもベリーと出会って,19年も一緒に過ごせた事実に,言葉にできないほど深く感謝している。
ベリーというオカメインコに出会えた偶然に,心から感謝している。
ベリーありがとう。
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