春は迷い

春は迷い

せめて風になれればと。

春休みの肌寒い宵を最後に君と歩いた日
埃の匂いに紛れた微かな春の気配を
たぶん死ぬまで忘れないと思った

今は時の果てで道標となったあの宵に
二度と聞くことのない声の気配をさがす
空より遠ざかった大切だったものたちの行方

青かった春の亡霊は未だ憚ることなく僕を縛り
怒濤の咆哮で僕をなぎ倒す
風になって消えよとあの日のように

my dear solitude

本当に辛いこと、最悪なことに関しては、
ただただ押し黙るしかない。

もちろん書いて吐き出すなんてできるはずない。
尽き果てるまで一人で抱え込むしかないのだ。

立ちこめる気配に慄いて

my dear memories

正解がない価値観を取捨選択する正解がない人生の中
正解がない感情に翻弄されて疲れ果て
たまに心の奥底で疼く正義感に気づいては
自分の無力さのあまり急いで蓋をする。

まぁいいよ。
自分が今とりあえず問題を回避しているのなら…。
 
思い出が甘美だったのは遙か昔。
今や自ら喜んで思い出の電源を引っこ抜く作業に明け暮れる。

疲れた身体と精神で最期まで抱いていられるものはなに?

坂の向こうにかつて住んだ街がある