ティータイム

    気を取り直して手を伸ばす
    冷めてしまったティーカップ

    紅茶は変わらず美味しくて
    だから涙がとまらなかった

ティータイム

紅茶の美味しささえも涙を誘った午後でした。

そして初めて気づくのさ

   過ぎ去って
   振り返って
   そして初めて気づくのさ

   君がいたこと
   幸せがあったこと

   手を伸ばせば
   失わずに済んだこと

懐かしい日の黒雲雀

たまによぎる君の瞳の哀しさに、僕は気づいていたはずなのに。

夕暮れ時の公園で

   噴水のほとりにはたくさんの人。
   思い思いの夕暮れ時が交差する。
   最後の光が飛沫の中で名残を惜しむ。

   迫りくる闇色に暖かさと寂しさと。

   わたしは白くただ白く。
   心も身体も純白になろうと空を仰ぐ。
   噴水の中の石像になろうと水面に願う。

   去りゆく光に哀しみと儚さと。

夕闇の水面

夕暮れ時の公園で、わたしは飛沫を浴びて石像になろう。

風も月も

風はゆく
銀の月には届かない

腕は宙を漂いて
ただ一粒の滴を受ける

風の涙も月の矢も
今はもう水の底

風も月も

滴はすべてを閉じ込める。風も月も想い出も。