風になって

吹き抜けてゆければいいのに

緑の葉っぱと戯れて
続いてゆく空を追いかけて
遠くへ遠くへ遠くへ

心なんて消えてしまうほど

風になって

いつかあなたの街を吹き抜けるころ、わたしはただの風になっている。

通り抜ける風のように

   たとえ抱きしめることができたって
   触覚すら共有できない
   ましてや心の痛みなど

   届かない
   いくら手を伸ばしても

通り抜ける風のように届かぬあなた

通り抜ける風のように届かぬあなた

Last chance

   闇を切り裂くベルの音
   鳴り続けたベルの音

   あんなにも待っていた
   待っていたのに

   耳をふさいだのは私
   応えなかったのは私

   ベルは今日も鳴り響く
   あの夜を弔う心の底で

長い時を刻む天文時計

巡る巡る時は逝く。あの日と今日を繋ぐ唯一の架け橋。

雨恋

   あぁ雨になろう
   空へのぼって降り注ごう

   あなたの笑顔が咲く街へ

   緑を育て雲になろう
   大気に溶けて虹になろう

   あなたの記憶が待つ街で

雨恋

降り注ぐ雨を待っている、待っている。