たぶんわかっていた。
留まれないのだってこと。
過ぎゆく光景だってこと。
愛しても愛してもこぼれ落ちてゆくのだってこと。
見えない果てに向かって車窓のように。
人生のように。人生だから。
ごめんね。悲しいね。寂しいね。
でも仕方がないんだよ。
黙って前を向いて旅支度を始めよう。
時は満ちた。

もう会いたくないのです,記憶の中の日々なんて。
死に向かって突き進むには邪魔すぎる。
立ち止まって振り返って,いったいそれが何になろう?
必要最小限度の思い出は大切に持っている。それで十分。
あなた方は今の私の血肉になって消えたのです。
だからもういいの。私は今と未来のことだけ考える。
眠れ眠れ過ぎた日々。いつか私と一緒に消えるまで。
風を切るように心が弾んだあとは
きっと転がりすぎて怪我をして
痛みに耐えながら決意する
低温で低空飛行で進んでいこう
凍りついた動かぬ心で
だからお願い闇よ雨よ
一足ごとに冷やして私を冷やして
二度と弾めぬよう温まれぬよう