花は夢

楽しかったことも
嬉しかったことも
幸せだったことも

沢山あった
なのに何故?

思い出すのはいつも
寂しい瞳
悲しい笑顔

叶わぬ未来に
摘みとった夢

伝えなかった心の願い


花は夢の中に

十五夜草を君に

君の笑顔が輝いて
雲雀のように幸せだった
春紫苑の咲く丘で

夢は過ぎ虹は消え
丘に揺れるは姫女苑
高く冴え冴え秋の月

僕がもっと
もっと大人だったなら

十五夜草を君に


 

 春紫苑 : 追想の愛
 姫女苑 : 素朴で清楚
 紫苑(十五夜草) : 君を忘れず/遠方にある人を思う/思い出/追憶

雨の朝

少しだけ懐かしい
朝の匂いは春を告げ

少しだけ暖かい
雨のリズムは時を告げ

目覚めたわたしは
今日の生に想いをはせつ

目覚めぬわたしは
逝った春を彷徨い歩く

幾許時を重ねても
同じ優しさ雨の音

雨の朝

木々のように空のように

姿が変わっても
色が変わっても

時が移っても
場所が移っても

いつもここにいる
必ず私はここにいる

だから
安心して忘れてね

木々のように空のように

 

ここにいる
何があっても

月影歩行

月影歩行

 

君と最後に歩いた夜は
風あたたかい弥生の終わり
これっきりだとわかっていたから
バス停一つ余計に歩いた

君と最後に歩いた道は
月影明るい慣れた道
涙は殺し楽しく歩いた

君と最後に待ってたバスは
定刻ぴったりやって来た
君は笑顔でじゃあまた
私も笑顔でじゃあまた

君の乗ったバスは闇に溶け
私も踵を返して歩き出す
君を忘れようとして十年歩いた