みんなみんな去っていったよ

想い出の街

風の向こうに目をこらす
欠片でもいい
亡霊でもいい

どうか見せて
あの頃の夢
生きた時間

願い儚く宙を舞い
ただ夕空は美しく
乾いた風が吹き抜けた

もう何もない
誰も誰も
想い出さえも

痛いほどの過去を知る

家路

夜長月の迷い言

 また一つ
 君のいない季節が増えました

 僕はがむしゃらに漕ぎ出して
 オルフェウスのように振り返りたいのを我慢して
 ただ前だけを見て進んでいます

 九月の海は静かです

さゆり

棘の君

 容赦なく残酷だった
 だけどそんな君から目が離せなかったんだ

 どうしようもなく真剣で
 たまらなく不器用で
 湧き水のように澄んでいて
 一点の悪意もない残酷さだったから

 今ごろ君はどうしているだろう
 変わることもできず泣いていないか
 自分の残酷さに傷ついていないか

透明な碧

通りすがりのあの街に

通りすがりのこの街に
夢を託すよ精一杯

明日を希望を自分を愛し
心が逸るよ刹那を刻みつ

いつか出て行く運命さえ
行く手に瞬く星になる

通りすがりの時間の中で
夢を紡いだ精一杯

不安を孤独を涙を見据え
心が駆けるよ息を切らしつ

いつか過ぎ去る街の灯が
迷った心の糧だった

今は遥かなあの街に
今宵風となって帰ろうか

太陽の家路